ウクライナ侵略戦争を開始したロシアに対して国際社会が制裁を課していることを横目に、人民元で決済されるロシア産の石炭や石油が続々と中国に到着し始めています。
米国国営メディア美国之音の記事より。
中国の情報筋によると、複数の中国企業が今年3月にロシア産の石炭を購入し、最初の出荷が今月中に中国に到着する見込みであることを明らかにしたと報じられました。
情報源である中国のコンサルタント会社である汾渭エネルギー情報サービスが明らかにしたところでは、中国企業が人民元を使ってロシア産貨物を購入したとのことです。
欧米諸国がロシアの銀行を国際決済システムから切り離して以来、ロシアからの貨物の代金が人民元で支払われるのは初めてだとのことです。
欧米の制裁によりロシアの国際決済機能は著しく制限され、ロシアの債務不履行のリスクが大幅に高まっています。
6日には、ロシアはルーブルを使って米国の銀行に6億5千万米ドルの負債を支払っていますが、新たな制裁措置により、ロシアが米国の銀行を利用して債務を支払うことが禁止されたため、この支払いは債権者側に受け入れられませんでした。
制裁によりドル決済ができないことへの対抗策として、ロシアは原油を中国に人民元を支払い手段として使う選択肢を提示したとのことです。
ロシアからの最初の石油は、5月にはアジア最大で世界第2位の経済大国である中国に引き渡される予定とのことです。
中国は長い間、世界貿易におけるドルの支配と、その結果として米国に与えられる政治的影響力に怒りを感じてきました。
ロシアを罰するために欧米が科した制裁措置は、ドル支配から抜けようとする関係国の努力を加速させています。
ロシア政府はインドが自国通貨ルピーでロシアの原油を購入することに同意するよう申し出ています。
サウジアラビアは、サウジ産原油製品の一部を人民元建てで価格設定する可能性について中国政府と交渉しています。
中国の鉄鋼メーカーや発電所は人民元で調達した石炭を使用していますが、 これらの取引は、従来は米ドルを介して行われていました。
しかし、米国や欧州がロシアの銀行を銀行間情報システムSWIFTから排除してからは、多くの中国バイヤーが購買活動を停止していました。
ロシアは昨年、オーストラリアに次ぐ中国への石炭供給国となり、中国がオーストラリアへの”制裁”として石炭輸入を禁止してからは、ロシア産石炭がその空白を埋めています。
国際決済銀行によると、2019年の世界の外国為替取引のうち、米ドルは88%を占めるのに対して人民元はわずか4.3%を占めるに過ぎませんでした。中国はこの割合を増やそうと画策しています。
しかし、やりすぎると中国が制裁対象としてドル決済から排除されてしまう恐れもあるため、中国も目立たぬように少しづつ実施していくことでしょう。
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参考記事
<美國之音>彭博社:中国用人民币购买的俄国能源将运抵中国
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