8月2日夜、ペロシ米下院議長を乗せた米空軍所属機がマレーシアを飛び立ち、世界中がその行方に注目していた時、『撃墜するぞ』と脅していた中国人民解放軍は、米軍の電子システムの妨害を受け、ペロシ議長の飛行機の位置を見失っていました。
フランス国営ラジオ放送局rfiが、香港の南華早報を引用した記事より。
8月2日夜のペロシ議長の動向は、日本のマスコミは全く報じませんでしたが、世界中で300万人がフライトレーダー24(flightradar24)にアクセスし、ペロシ下院議長を乗せたとみられる米空軍輸送機「C-40C」を追跡していました。
台湾島の南東部海域には米ロナルド・レーガン空母打撃群が展開してペロシ議長搭乗機の護衛にあたり、「ペロシ機に近づくものは撃墜する」と警告し、中国人民解放軍の戦闘機が台湾海峡の中間線を越えたと伝えられた時には、ついに米軍対中国軍の空中戦が勃発するのかと世界中が固唾を飲んで見守っていました。
結果的には軍事衝突もなく、ペロシ議長搭乗機は無事台北に到着し、ペロシ議長は2日間の訪台日程をこなし、次の訪問国韓国に向け飛び立っていきました。
一見すると何事もなく無事に済んだように見えるペロシ議長搭乗機ですが、目に見えないサイバー空間では米中のバトルが繰り広げられ、米軍の圧勝により中国人民解放軍はペロシ議長搭乗機を見失っていたことが明らかになりました。
南華早報が14日の報道によると、軍事筋や国防アナリストが、ペロシ氏が台湾を訪問した頃に米軍と中国人民解放軍とが激しい電子戦を繰り広げていたと述べました。
ペロシ議長訪台の前夜、中国CCTVは、中国人民解放軍が海軍と空軍を使い、8月2日にペロシ議長一行を乗せてマレーシア・クアラルンプールから台北に移動する米空軍輸送機を「完全に追跡・監視」すると報じていました。
中国人民解放軍国防大学の孟祥青少将は、追跡の目的は「抑止力」のためであるとしていました。
しかし、中国人民解放軍が空軍電子戦戦闘機J-16Dや、海軍最先端レーダー搭載の055型駆逐艦を使ってペロシ議長搭乗機の位置を特定しようとしましたが、米軍による電磁波妨害や電子システム妨害に遭い成功しませんでした。
2~3日のペロシ議長の台湾訪問時と、その後1週間以上も続いた中国人民解放軍の台湾包囲演習の過程で、米中は偵察や電子戦の分野で「見えない戦争」を行ったものとみられています。
見えない米中戦争は、中国人民解放軍がペロシ議長搭乗機を見失ったことで、米軍の圧勝に終わっており、その後のリトアニア政府高官の台湾訪問(8月7~11日)や米国超党派議員団の台湾訪問(8月14~15日)に対する中国の反応が弱腰だったのも、戦っても敵わないと思ったからかもしれません。
これこそが戦争を起こさないための行動です。
その腹いせのつもりか中国は演習中に日本のEEZに5発の弾道ミサイルを撃ち込んできましたが、『弾道ミサイルが落下』と表現し、「5発なら誤射かもしれない」と言わんばかりのマスコミ報道には呆れてしまいます。
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参考記事
<rfi>南早: 中美电子战 解放军跟踪佩洛西座机失败