中国の多くの都市で、何万人もの人々が危険を顧みず、抗議集会に参加しています。1989年の六四天安門事件以来、中国では見られなかったことで、中国当局はますます政治化する抗議活動に直面しています。
フランス国営ラジオ放送局RFIの記事より。
ウルムチ、上海、北京、南京、広州、鄭州、武漢、成都、長沙、重慶……11月25日以後、つぎつぎと中国の無数の都市で抗議デモが行われています。
中国の多くの都市で、危険を顧みず何万人もの人々が抗議集会に参加していることは、海外でも大きな関心を持って報じられています。海外メディアには「これは1989年の天安門事件以来の中国での抗議運動であり、中国当局はますます政治化する抗議に直面している」と強調するところもあります。
関連記事によると、最初の抗議行動は、ゼロコロナ政策とその実施中に起きた行き過ぎた行為とその結果に対するもので、ウルムチでは、出入り口が封鎖されたマンションで火災が発生し、(当局発表)10名が死亡したことで、すでに3ヶ月以上ロックダウンされている人々の怒りがこめられています。
ウルムチ天山区の高層ビルの一室で古くなったコンセントが原因で火事があり子供らを含む10人以上が亡くなった。ゼロコロナ政策でウルムチは封鎖され,人々の家は外から鍵がかけられている為に逃げられなかった。非常口や道路も柵などで封鎖され消防隊員と消防車を妨げ到着が遅れた。 pic.twitter.com/4fO9rpzxY4
— نۇرمۇقەددەس (@muqeddes100) 2022年11月25日
河南省鄭州市では、アップルの下請け企業であるフォックスコンの従業員が、約束されたにもかかわらず支払われないボーナスと、生活や労働条件を耐え難いものにするゼロコロナ政策に抗議して公安と衝突しました。
しかしその後、上海、南京、北京、長沙、成都、武漢で勃発した抗議デモは、一気に政治化へと向かい、「 習近平退陣しろ」「共産党退陣」「終身制をやめろ」「PCRはいらない、自由をよこせ」などの大合唱声も聞かれました。
11/28めざましTVにて。🇨🇳ゼロ武漢肺炎大規模講義の報道。
— 小沢瑞鶴 (@Zuikaku_ozawa) 2022年11月28日
🇨🇳共産党・習近平退陣、ウルムチ火災についての報道なし。 https://t.co/fwxqmgUwR4 pic.twitter.com/eksLkqrKAE
また、デモ隊の中には、白い紙を手にしたデモ隊があちこちに見られました。これは、この国は心の中のことを書けない国だが、それでも人々は意思を持っているということを象徴しています。
海外メディアの中には、「抗議活動は広い中国の一部で起きているに過ぎず、 多くの中国人は、国土が広大であるため、ゼロコロナ政策だけが多数の死者を出さないための政策だと今でも信じている。しかし サッカーのワールドカップの放送により、世界の人々がマスクをしないで生活していることを知った中国人が動揺しているだけだ」と分析しているところもあります。
今のところ北京と上海のデモでは、警察は暴力的な対応をしないように気を遣っていたようです。しかし、集会の後、警察は何十人ものデモ参加者を逮捕しています。ある外交官は「デモの翌朝に、人々が自宅や職場で逮捕された」と語っています。 取り締まりは現在も継続中です。
中国当局はゼロコロナ政策に対する国民の不満に直面し、困難な局面にぶち当たっています。当局が妥協せずにゼロコロナを続ければ事態はさらに緊迫すると思われますが、屈してゼロコロナ政策を撤回すれば
、疫病がさらに蔓延することになります。
現在、中国での流行の数値はすでに過去最高となっており、毎日数万人が新たに感染しています。
10月に中国共産党中央委員会総書記に再選された習近平は、政権発足以来、最も深刻な健康、社会、さらには政治危機に直面することになりました。 しかも、この危機の直接の原因は、彼にあるのです。
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ゼロコロナによるロックダウンに抗議する住民が、警察官と小競り合いになることは以前からあちこちでありましたが、白紙を掲げて習近平退陣を要求するデモは最近始まったことです。
11月26日に、 南京伝媒学院の学生が大学校内で白紙を掲げて立っていました。その姿は友人が動画で撮影していたそうですが、彼女はただ黙って白紙を掲げていただけで、なにかを訴えることはありませんでした。
白紙は言論の自由がないことへの抗議の意味があると見られています。「何かを言ったら削除されるが、白紙なら削除しようがないだろう」の意味だとも言われています。
しばらくすると大学関係者が彼女に近寄り、白紙を取り上げましたが、彼女はその後もその場にとどまり続けたそうです。大学関係者は「何も書いてないが、何を書きたいのかはわかってる」と言って白紙を取り上げたとか。
その姿に感銘を受けた新疆出身の学生が彼女の傍に立ち、ウルムチで起きているロックダウンのこと、その最中にマンション火災が起き、ロックダウンのために消防車の到着が遅れ、さらに出入り口が封鎖されていたために閉じ込められた住民が犠牲になったこと、当局は犠牲者は10名と発表したのに、市内の病院に運ばれて死亡が確認された人が40名以上いたことなどを訴え始めました。
その声を聞きつけた学生たちが集まり始め、犠牲者への哀悼の意を表していましたが、次第にゼロコロナ政策への批判、共産党政権への批判を口にするようになり、夜遅くまで学生たちは解散しなかったそうです。
この様子がSNSに投稿されると、白紙を掲げて抗議する動きが中国各地に飛び火していきました。
習近平政権はこの動きを鎮静化するのに必死ですが、六四天安門事件のように人民解放軍の戦車を出撃させることはできません。
天網(スカイネット)と呼ばれる監視システムと健康コードアプリを駆使してデモ参加者を割り出して次々に逮捕しているようです。
健康コードアプリは、緑コードでなければ交通機関も利用できませんし、感染者との接触をチェックするために当人がどこにいたのか記録されています。
デモ発生場所に発生時間にいた人の健康コードを黄または赤コードに変えてしまえば、その人は実質家からは出られなくなり、翌日に警察が逮捕に向かうことができるわけです。
健康コードの目的外使用は今に始まったことではありません。中国河南省の村鎮銀行の抗議デモ事件でも悪用されました。
「白紙運動」とも呼ばれ始めたデモ活動が、さらに広がるのか鎮静化されるのか予測はできませんが、習近平政権にとってはかなりの痛手でう。
国内が荒れている時に外を攻めるのは、独裁政権の鉄則だそうです。台湾軍事侵攻に打って出ないか心配です。
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参考記事
<rfi>中国多个城市爆发的抗议活动越来越政治化