欧州連合(EU)が新疆ウイグル自治区での人権問題を理由に、複数の中国当局者に課している制裁措置の延長が、来月上旬にも決定されるとの見込みです。 EUと中国とは非公式なレベルでの接触してきたにもかかわらず、相互の制裁解除は依然として困難な状況にあるようです。
ドイツ国営の国際放送事業体である徳国之声の記事より。
EUによる4名の中国当局者に対する制裁措置がさらに1年間延長されることになりました。 彼らは新疆ウイグル自治区での深刻な人権侵害で告発されています。
香港紙South China Morning Postは、新疆ウイグル自治区の人権状況に改善が見られないとする多くの事情通の外交官の発言を紹介しており、12月にEUが制裁を正式に延長するだろうとのことです。
2021年3月、EUは新疆の中国当局者4名に対する制裁を発表しました。 制裁の対象となったのは、新疆ウイグル自治区公安部の陳明国書記、同自治区元副議長で公安部長の王明山氏、新疆生産建設兵団元党委書記の王君正氏、新疆生産建設兵団元党委書記で政治法務委書記の朱海侖氏の4人と公安局です。
制裁対象者は、EU加盟国への入国が認められず、EU域内で資産凍結されています。 さらに、EUから組織や個人による財政支援を受けることも禁止されています。
EUが中国に制裁を科すのは、1989年6月4日の天安門事件以来のことです。 中国外交部は直ちに対抗措置を発表し、EUの10個人と4団体に制裁を課しました。
EUの制裁処置は2021年12月に、1年延長して2022年12月までとされていました。
中国の人権問題への国際社会の圧力は衰えることがありません。 今年8月末、ミシェル・バチェレ国連人権高等弁務官が退任前に発表した新疆の人権に関する報告書では、「新疆には深刻な人権侵害があり、ウイグル人やその他のムスリム少数民族に対する恣意的・差別的な拘束のレベルは国際犯罪、特に人道に対する罪に相当する可能性がある」と述べています。
しかし、EUの制裁処置にもかかわらず、制裁を受けた中国当局者のキャリアには影響がありません。元新疆公安局長の王明山は党委常務委員兼自治区政法委書記に昇進し、王君正はチベット自治区党委書記に転任したのち、今年の中国共産党第20回全国代表大会で中央委員に選出されています。
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中国の人権問題では、欧米が中国当局者に制裁を課すと、中国が報復制裁を課し、制裁合戦になっています。しかしどちらの制裁も効き目はイマイチのようです。
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参考記事
<徳国之声>新疆人权:欧盟将延长对中国官员制裁
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