恒大グループが、受注不足により電気自動車の量産を中止したと報じられました。同時に、自動車部門の従業員の10%を解雇し、25%を1~3ヶ月の無給自宅待機にする予定であることが明らかになりました。
ドイツ国営の国際放送事業体である徳国之声の記事より。
経営難に陥っている中国の不動産開発会社の恒大グループは、新規受注がないため、自動車部門が唯一の電気自動車「恒基5」の量産を中止したと報じられました。
恒大グループの自動車部門である恒馳モータースは、従業員の10%を解雇する予定で、従業員の25%を1~3ヶ月の無給自宅待機にするとのことで、いつまで自動車生産を停止するかは不明です。
恒馳モータースは9月中旬、天津工場で「恒基5」の量産を開始し、10月末までに最初の100台を納車すると発表していました。
しかし、電気自動車の新規受注が十分に得られず、量産を中断しました。さらに多くの従業員が10月と11月の給与をまだ受け取っていません。
恒大グループは、自動車部門を変革計画の鍵として宣伝しており、創業者の許家印は、恒大が10年以内に不動産事業から新エネルギー自動車産業に転換し、2025年までに100万台の電気自動車を生産・販売すると発言しています。
電気自動車は、中国政府が減税や補助金など販売促進政策をとっていますが、ゼロコロナによる景気低迷により、自動車市場も低迷しています。
一方、テスラが中国での値下げなどにより、他の赤字のライバルに圧力をかけており、電気自動車分野での競争は激化しています。
中国最大の不動産開発企業である恒大グループは、近年債務危機の渦中にあります。
最近、中国の規制当局が4つの大手銀行に対し、恒大グループを含む不動産開発業者の海外債務返済を支援するためにオフショア融資を行うよう要請したと、業界関係者が明らかにしました。
不動産部門は中国経済の4分の1を占め、経済成長の重要な原動力となってきました。中国政府はこの分野への支援を強化しています。
情報筋によると、規制当局が銀行に対し、12月10日までに国内資産を担保にした新規融資を行うよう、「口頭指導」(書面を残さない口頭での指示)を行ったようです。
まず、4大銀行(中国銀行、中国建設銀行、中国工商銀行、中国農業銀行)がそれぞれ数社の不動産開発会社を選んで融資を行い、今後さらに銀行を増やして計画を拡大します。
銀行が貸し出す資金によって、不動産開発会社は海外からの融資やドル債を返済することができ、世界の投資家の信頼を回復することができると、中国当局は期待しているようです。
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12月2日に恒大グループ創業者の許家印が、ビルから落下して亡くなったとの噂が流れました。直後に許家印本人のものとされる音声データが公開されて噂を否定しましたが、こんな噂が流布すること自体に闇を感じます。
中国不動産開発会社の海外債務が債務不履行の危機に晒されて久しいですが、官民あげて最悪の事態を避けようと四苦八苦しています。
中国経済のバブルは、20世紀末の日本のバブル崩壊と同じ足跡を辿っていると指摘する有識者もあり、日本のように「失われた30年」に突入する危険性もあるそうです。
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参考記事
<徳国之声>恒大深陷财务危机 传暂停量产电动车