中国訪問から帰国したフランスのマクロン大統領が、台湾をめぐる中国との対立を避けたい、欧州は米国の属国であってはならないと発言し、国際的な批判を招いています。欧州各国はマクロン大統領は欧州のリーダーとして失格だと批判し、米国の議員たちは欧州との関係を再検討すべきだと主張しました。
米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。
マクロン大統領は、中国訪問を終えた大統領専用機の中で、欧州の政治ニュースサイト「ポリティコ」や「ルモンド」「レゼコー」とのインタビューで、欧州は台湾を巡る米中の対立に巻き込まれることを避けるべきだと述べ、欧州は戦略的に自律しているべきで米国の家来になってはいけないと強調しました。
マクロン大統領は、「欧州人にとっての疑問は、台湾危機を加速させることが我々の利益になるのか、ということだ。 いいえ。 もっと悪いのは、ヨーロッパ人がこの問題について、アメリカのペースや中国の過剰反応に合わせ、追従すべきだと考えていることだ」と述べました。
ポリティコは、マクロン大統領は、ヨーロッパが台湾海峡問題に干渉すべきではないという中国の習近平国家主席の意見に同意しているらしいと分析しています。
マクロン大統領は記者団に、「ヨーロッパ人はウクライナ危機を解決できないのだから、台湾問題で何ができると言えるのか?」と語っています。
マクロン大統領は、自分が「ヨーロッパを代表している」と勘違いし、アメリカと距離を置きながら、同時に中国に従順に迎合しているかのような発言は、国際的な反響を呼び、世界中の政治家、学者、ジャーナリストから『ヨーロッパのリーダーとして不適格である』と非難されました。
ウクライナ議会の外交委員会のオレクサンドル・メレシュコ委員長は、マクロン大統領がインタビューの中で、『戦争』ではなく、ロシアや中国の政治プロパガンダで知られる『ウクライナ危機』という言葉を使ったことに注目しました。
メレシュコ委員長は、「ウクライナは『危機』ではなく、ウクライナを侵略するロシアの戦争だ。このように述べることで、マクロンはフランスの信頼性を損なっている」とツイートしました。
米国はロシアとウクライナの戦争に深く関与しており、欧州の安全保障を提供しており、東欧諸国の米国と大西洋を横断する同盟に対する態度は、明らかにマクロンのそれとは大きく異なっています。
ポーランドの内部安全保障局のスポークスマンであるスタニスワフ・ザリンは、「北大西洋条約機構同盟は、将来の脅威や挑戦に対して団結して立ち向かわなければならない。欧州が米国に対抗するのは本末転倒だ」と述べています。
エストニア議会の外交委員会メンバーであるマルコ・ミケルソン氏は、「なぜ、マクロン大統領こうなのですか? 欧州は米国とともに中国軍に立ち向かうべきだ」と述べました。
在ベルギー・フィンランド大使館顧問のサリ・アルホ・ハヴレン氏は、「マクロンはますます中国を必要としている。フランスはヨーロッパを代表していない。欧州連合(EU)全体を代表する権利を有していない」と批判しました。
欧州議会の中国関係代表団のラインハルト・ブティコファー代表は、「マクロンの訪中は予想以上に悪く、完全な大失敗だった…。中国と台湾に対する姿勢で、マクロンは欧州のリーダーであるという主張を失った」と批判しました。
さらに悪いことに、マクロンの発言は大西洋を越えて広がり、ヨーロッパとアメリカの関係に影響を与える可能性があります。
米共和党のマルコ・ルビオ上院議員は、ツイッターで、「マクロンが欧州を代表しているのか? もしそうなら、何かを変えなければならない」と疑問を呈し、「 ヨーロッパの防衛、特にフランスは、北アフリカへのフランス軍の派遣を援助している米国に依存している」と強調しました。
ルビオ上院議員は続けて、「マクロンが自分のものでない戦争に巻き込まれたくないと言うなら、彼はヨーロッパを代表しているのだろうか? アメリカは今、ロシア・ウクライナ戦争にかなり関与しており、ヨーロッパの戦争に税金を出している。 同盟国であることが重要なので、私はそれを支持する」と述べました。
ルビオ上院議員は、さらに、「マクロンが欧州を代表し、台湾問題で米中間の味方をすべきでないと考えているなら、米国は欧州に任せて独自にロシアに対処すればよかった」と強調しました。
ルビオ上院議員は、中国はマクロン大統領の発言をすべて支持しているとし、フランスまたは欧州からの迅速な返答を求めています。
世界中の学者、ジャーナリスト、識者は、マクロン大統領の発言に対して異口同音に、「戦術的な誤りを犯し、国際的リーダーとしての地位を危うくする」と批判しています。
蔡英文・台湾総統にグローバル・リーダーシップ賞を授与したことで中国共産党から制裁を受けたばかりのハドソン研究所の元所長ケネス・ワインスタインは、「マクロンはフランス第五共和国の歴史上、最も無粋で弱々しい国際リーダー」とツイートしています。
フランスのベテランジャーナリスト、ウルスラ・ゴーティエ氏は、「マクロンは、同盟国や西側の連帯の中でフランスのイメージを打ち砕くことに成功したこれは、台湾を前にして分裂した西側諸国を必要とする習近平の勝利である」とツイートしました。
ドイツの代表的な外交専門家であるウルリッヒ・スペックは、「マクロンも彼のアドバイザーもインド太平洋問題を理解していないし、気にもしていない」と疑問を呈しました。
一方、英国の学者アンドレアス・フルダは、マクロンの発言は極めて憂慮すべきものだとし、「マクロンは自分自身と民主主義と人権を信じる数百万人のヨーロッパ人を代表していない。台湾が失われれば、国際自由主義秩序は歴史となる」と強調しました。
フランス戦略研究財団(FRS)のブルーノ・テルトレ副所長も、マクロンは間違っていると強調し、「台湾海峡での戦争を回避する最善の方法は威嚇することだ。習近平政権が武力で台湾を併合するのを抑止しなければならない」と述べました。
チェコ欧州価値・安全保障政策センターのヤクブ・ジャンダ事務局長は、「マクロンはロシアを威嚇するのではなく、宥和しようとしたことで欧州の安全保障上の利益を裏切り、今や欧州の利益を中国に売り渡している。明らかにヨーロッパのリーダーとは言えない」と批判しました。
マクロン大統領の中国での売国行為を受けて、ツイッター上では、「EUの戦略的自律性を高めることの必要性を欧州のパートナーに説きながら、中国への依存度を意図的に高める」という意味の新しい動詞、macroningが登場し、皮肉な展開を見せています。
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マクロン大統領の訪中には、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長も同行していたのですが、ライエン委員長の動向はほとんど報じられず、広州にはマクロンと習近平だけが訪れていました。
中国滞在中にマクロン大統領は習近平国家主席に言い含められてしまったようです。今後、フランスと中国との経済協力の話や、レアアースのフランスへの優先割り当てなんて話も出てくるんでしょうね。
参考記事
<世界新聞網>马克宏称欧洲不卷台海议题 新词macroning讽卖友求荣