中国の人民元が再び対米ドルで7元を超えたました。中国人民銀行はかつて市場に対して投機を抑制し、為替レートの大きな上下動を抑制するよう強く呼びかけましたが、その後、中国人民銀行は動きを続けませんでした。
米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。
中銀証券のチーフエコノミスト管涛氏は、 国家外為管理局が発表した5月の外国為替残高データで、現在の中国人民銀行の為替政策の論理を分析することができると言います。
2019年8月上旬、米中貿易・経済交渉の行き詰まりから、2015年8月11日の為替改革以来、初めて人民元が7を超えました。以後、人民元為替レートは何度も1ドル7元を上下に変動しています。
2019年12月末、米中が経済貿易協定の第1段階に到達しそうだという噂を受け、人民元は反発して1ドル7元を割り込みました。
2020年2月中旬、新型コロナ感染症の発生と経済停止により米ドル/人民元が2度目の7元超え。2020年7月中旬、効果的な国内疫病の予防と制御、経済が回復の先頭に立つことにより米ドル/人民元が再度上昇し7元を割り込みました。
2022年9月中旬、国内で新型コロナが蔓延して景気回復が停滞したため、米ドル/人民元がまたまた7元を超えましたが、2022年12月上旬、ゼロコロナ政策の最適化や不動産規制調整により、景気回復の見通しが良くなり、米ドル/人民元は7元を下回りました。
そして、 今年5月中旬以降回復期待がしぼみ、米ドル/人民元は7元を超えています。
中国人民銀行は5月19日にプレスリリースを発表し、監督・管理および監視・分析を強化し、投機を抑制することを強調しました。 同時に、外国為替自律機制機構メンバーに、外国為替市場の基本的な安定を維持し、為替レートの大きな変動を断固として抑制するよう促しました。
しかし中国人民銀行の奮闘虚しく、その後、5月31日に7.10元、6月13日に7.15元を超え、15日の場中に取引価格が一時7.18元を超える事態が発生しました。
中銀証券のチーフエコノミスト管涛氏は、これは中国人民銀行が外国為替市場に対する信頼を無くしたのではないと述べています。
実際、中国人民銀行前述のプレスリリース前半で、中国の外国為替市場は自らバランスを取る能力があり、人民元為替レートも修正力と修正メカニズムを持っており、合理的に均衡した水準で基本安定を保つことができると指摘しています。
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『1ドル7元を超えると中国経済は崩壊する』とは以前から言われていましたが、2019年に初めて7元を超えて以来、4回7元越えをしており、現在がその4回目の真っ只中になります。
日本円も昨年来円安ドル高が進んでいますが、日本の場合には円安によって増収増益を実現する企業が相次ぎ、国家の税収も2022年度も過去最高の税収となる見込みだそうです。
日本と中国とでは事情が異なるかもしれませんが、必ずしも元安が経済にマイナスとは限らないのでは、と思います。エネルギーはロシア産の原油や天然ガスを買い叩けばいいし、ロシア崩壊後はシベリア油田の権益を取ってしまえばいいだけです。
参考記事
<世界新聞網>管涛:人民币再度破7后 人行为何只说不做