中国の習近平国家主席が米国のジョン・ブリンケン国務長官と会談しました。CCTVの映像では、習近平国家主席中央に一人で座り、中国と米国の代表団の関係者が左右に座っていました。
フランス国営ラジオ放送局RFIの記事より。
習近平国家主席は、これまで外国からのゲストと会談した場合、左右に向かい合うように座り、少なくとも「ホストとゲストの平等」を示していると指摘されています。
今回のブリンケンとの会談は意外なものでした。ホストとしての習近平がゲストのブリンケンをないがしろにする意図があったとしても、少なくとも口頭では、そのような雰囲気はまったく感じられませんでした。
習近平はスピーチで、中国とアメリカがいくつかの具体的な問題で進展し、合意に達したことは「良いこと」であると述べました。また、国家間の取引は 「相互に敬意を払い、誠意をもって接する」べきだとも述べています。
このホストとゲストの不平等な席次が、習近平の指示なのか、部下の忖度なのか知る由もありませんが、習近平が権力の頂点に立つと、ことあるごとに最高権力者に「盲従する」文化が広がり、官界の忖度、おべっかのスタイルが広がりました。
「中南海の大秘書官」と称される政治局常務委員・中央弁公庁主任の蔡奇は、習近平に媚びる名手であり、こうしたシーンのアレンジは、彼の手によるものではないかとの憶測もあるようです。
CCTVが放送した習近平とブリンケンの会談では、習近平の原語は「国務長官が訪中している間、米中関係の安定にもっと積極的な役割を果たすことを望む」でしたが、CCTVが公表した原稿では「あなた(你)が訪中している間、米中関係の安定にもっと積極的な役割を果たすことを望む。 ……」とあり、『国務長官』の代わりに二人称の『你』が使われています。
中国の二人称は、国賓の会見など外交的な厳粛な場面では、お互いに「你」の敬語「您」を使うのですが、CCTVは意図的に「你」を使っており、慇懃無礼な態度が疑われます。
習近平とブリンケンが会談したとき、習近平もブリンケンもマスクをしませんでした。習近平以外の中国側中当局者は例外なくマスクを着用していたため、普段はマスクを着用しない米側関係者も「慣習に従う」しかなかったようです。
振り返ってみると、19日にブリンケンが中国外交トップの王毅政治局員と会談したとき、王毅はマスクをしていませんでしたが、他の中国当局者は全員マスクをしていました。この時も米側ではブリンケンはマスクをしませんでしたが、それ以外の米側関係者は「習慣に従う」しかありませんでした。
これは、18日にブリンケンが中国の秦剛外相と会談した際も同様で、ブリンケンと秦剛はマスクをしておらず、それ以外はマスクを着用していました。
マスク着用は感染や伝染を防ぐための衛生的な措置であり、一部のネットユーザーからは『ウイルスの前では誰もが平等であり、ウイルスは誰が強力な権力者であるかを見て忖度することはない』という声も聞かれました。
お偉方はマスクをしない、という斬新な手段は、蔡奇政治局常務委員・中央弁公庁主任の手によるものだということを知りものは少ない。
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『習近平皇帝陛下のご臨席を仰ぎ、臣下が外国からの特使と謁見する』、CCTVで大々的に報じられました。
16日に習近平がビルゲイツと会談したときには、並んで座席についていました。
参考記事
<rfi>习近平布林肯会谈场面 犹如王朝式外交再现