ハマスの指導者たちは、ハマスがイスラエルを襲撃したことに触発された中国が、それに倣って台湾を襲撃するつもりだと主張しています。中国人民解放軍の何雷中将は、「中国は大国であり、武装組織の例に倣うことなどない」と反論し、この主張を退けています。
ドイツ国営の国際放送事業体である徳国之声の記事より。
パレスチナのイスラム過激派組織ハマスは10月7日、イスラエルにテロ攻撃を仕掛け、1400人以上のイスラエル人を殺害、200人以上の人質を取りました。
イスラエルはその後、『ハマスの地上からの抹殺』を宣言し、両者は1カ月近く武力衝突を続けています。
ハマスの海外指導者であるハレド・マシャルは、エジプトメディアのサダ・アル・バラドのインタビューで、「中国が台湾を攻撃する際の戦術を踏襲するつもりだ。」と主張しました。
「中国は我々の攻撃を輝かしい手本として見ており、10月7日にアル・カッサム・ブリゲードが行ったことを台湾で行う計画を検討している。アラブ人は世界に模範を与えている。」
インタビューの中でマシャルは、「私たちはアラブ共同体を西側社会や、中国やロシアのような超大国との間で活発に活動させ続けたい 」と述べました。
マシャルはまた、「ハマスがアメリカをロシアやウクライナからそらすため、ロシアはその攻撃から利益を得ている。」とも述べ、さらに、「ロシアは10月初旬のハマスによるイスラエル攻撃を軍事学校の教科書として使うつもりだ。」と付け加えました。
これに対し、10月31日に開催された第10回北京香山フォーラムに出席した元中国軍事科学院副院長で人民解放軍中将の何雷氏は、「中国の軍隊が他の武装組織や軍隊を模倣できるわけがない。」と切り捨てました。
何雷氏は、「中国は大国であり、中国軍は大国の軍隊であり、中国の特色ある防衛的国防政策を追求する独立自主の社会主義国である。中国が世界のどの国の軍隊の真似をすることは決してない。」と述べました。
さらに、「中国が世界のどの国の軍隊の真似をすることは決してない。我々は常に平和を標榜してきた。そうせざるを得なくなった時に初めて、我々は自衛のために反撃し、国家主権の完全性と統一性を守るために、他の手段、強硬な手段、強権的な手段を取るのだ」と述べました。
続けて何雷氏は、「台湾については、中国の一貫した方針は『最大限の誠意と忍耐をもって平和的統一を目指す』ことであり、決して武力行使を放棄することではない。」と述べました。
何雷氏はまた、「中国には台湾統一のスケジュールはなく、『砲撃の責任はすべて台湾にある』とし、中国が採用する手段は主に外部勢力の干渉の度合いと台湾当局の行動によって決まる。」と述べました。
また、何雷氏は香山フォーラムの開幕前、中国官製メディア『環球時報』の独占インタビューに応じ、「中国政府が台湾問題を解決するために武力行使をせざるを得なくなれば、それは『合法的な戦争、正義の戦争』であり、この戦争を誘発した責任はすべて台湾当局にあり、『台湾独立』問題は台湾当局の責任である」と語っています。
台湾国防部情報研究センターの羅正宇情報官は11月1日の定例記者会見で、中国が台湾への同様の攻撃を検討しているとのハマス指導者の主張に対し、「テロリズムが国際的な安全保障を劇的に危うくし、わが国国軍はこの敵対的脅威に応じて自衛能力を強化し続けることを、我々は皆認識している。わが国軍は、この敵情脅威に応じて自衛力を強化し続けるとともに、友好国や同盟国とも積極的に協力し、さまざまな脅威や挑戦に適応するための抑止力を強化していく。」と述べました。
台湾の国防部の孫立方報道官は、「中国共産党は現在、台湾が直面する最も重要な国家安全保障上の脅威であり、台湾国軍は、卑劣な攻撃やその他の民間人の攻撃や軍事的威嚇など、中国共産党のすべての取りうる行動に対して、非常に慎重な分析と観察を実施している。情報を把握するための様々な手段を通じて、対応は、緊急事態の処理規定に含まれる。」と述べました。
また孫立方報道官は、「台湾国軍は中国共産党のあらゆる可能性のある行動を広い視野で予見し、同時に中国共産党の様々な可能性のある行動を熟知し、適切に対処することができる。」と語りました。
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ロシアのウクライナ侵略戦争、イスラエル・ハマス紛争が起きているときに、中国が台湾武力侵攻を始めたら世の中は大混乱です。
ハマスの幹部が、『中国が台湾を襲撃するつもりだ』と主張したのは、イスラエル支援国(アメリカ)の軍事力を分散させるのが狙いなのでしょう。
中国には大国として、イスラエル・ハマスの仲介役を担ってほしいです。
参考記事
<徳国之声>哈马斯称中国有意仿效攻台 解放军将领驳斥