米国のシンクタンク、グローバル・エネルギー・モニターが7月12日に発表した調査結果によると、現在建設中の世界の大規模な風力発電所と太陽光発電所のほぼ3分の2は中国に立地していることがわかりました。中国における石炭火力発電の割合も、再生可能エネルギーの急増により、過去最低にまで低下しています。
フランス国営ラジオ放送局RFIの記事より。
グローバル・エネルギー・モニターの報告書によると、中国が建設中の実用規模の風力・太陽光発電容量は339ギガワットで、これは世界全体の64%に相当し、第2位の米国の40ギガワットの8倍以上です。
報告書は、水力発電を増やさなくても、中国の建設速度は、2030年までに再生可能エネルギー容量を3倍にするという世界的な目標に「十分手が届く」と指摘しており、中国に対し、来年の国連での気候変動公約の目標を引き上げるよう求めています。
シドニーを拠点とするシンクタンク、クライメート・エナジー・ファイナンス(Climate Energy Finance)は先週、中国当局が今月中に「風力発電と太陽光発電を1,200ギガワット導入する」という2030年目標を、予定より6年前倒しで達成する見込みであると発表しました。
グローバル・エネルギー・モニターのリサーチアナリスト、于愛群氏は、再生可能エネルギーの大幅な伸びを吸収することは、中国の石炭火力発電グリッドにとって依然として課題であり、送電線の整備を早める必要があると述べました。
それにもかかわらず、気候変動科学・政策のウェブサイトであるカーボン・ブリーフが12日に発表した別の分析によると、最近、新たな発電容量の増加により、再生可能エネルギーの発電量は過去最高を記録しています。
アジア・ソサエティー政策研究所シニアフェローのラウリ・マイリヴィルタ氏によると、今年5月の中国の発電量の53%は石炭によるもので、昨年の60%に比べて低下しており、44%は非化石燃料によるものだとのことです。
この傾向が続けば、中国の炭素排出量は昨年がピークで、以後低下していく可能性があります。
中国では、新たな発電能力を大量に追加したことで、今年5月には太陽光発電のシェアが12%に上昇し、風力発電は11%に上昇しました。 その他の非化石燃料の発電源は、水力発電が15%、原子力発電が5%、バイオマスが2%となっています。
中国の総炭素排出量の40%を占めるエネルギー部門からの二酸化炭素排出量は、再生可能エネルギー発電の増加により、5月には3.6%減少しました。
風力発電と太陽光発電の現在の急速な普及が続けば、中国の二酸化炭素排出量は減少し続け、「2023年が炭素排出量のピークだった」と振り返ることができるだろうと分析されています。
今年5月の太陽光発電量は前年同月比78%増で、過去最高の94テラワット時(TWh)に達しました。
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中国は太陽光発電、風力発電設備の世界シェアも圧倒的で、太陽光では80%、風量発電機の60%弱が中国企業の生産です。
風力発電機、中国勢のシェア6割に 米欧抑え一極集中 - 日本経済新聞
圧倒的シェアを誇る太陽光、風力発電設備を、世界第4位の960万平方キロメートル(日本の20倍)の広大な国土に敷き詰めれば、莫大な電力を発電できそうです。
この電力を日本も購入すれば、太陽光発電所設置のために山林を伐採して環境被害を起こしたり、風力発電機の低周波騒音による健康被害を起こす心配をする必要がなくなりますね。
ちなみに太陽光発電では、赤外光から発電する技術があり、これは日本で開発された技術です。赤外光は太陽光の44%を占め、植物の光合成にも使われていない光エネルギーなので、従来のソーラーパネルのように植物の育成を阻害することが少ないです。興味のある方は下記ウェブをご覧ください。
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