中国全国人民代表会議で採択された香港国家安全法導入。
トランプは「強力な行動」とると警告する前に、
ポンペオは「香港に高度な自治はない」と議会に報告。
中国からは強烈な反論が。
今週は米中で人権に関わる様々な動きがありました。
中国の全国人民代表大会で香港への国家安全法導入が決まったのが最大の出来事ですが、
もう一つ香港に関係した法律に沿った動きが米中の対立を深めています。
この法律はアメリカ国務省に、香港における民主主義·人権が十分に機能し、
香港の民主制度が機能しているかどうか調査し、議会に報告するように義務付けています。
今月がその提出期限でしたが、
中国で全人代が開かれ、香港への国家安全法導入が議題の一つであったため、
その動向を見極めるまで報告が延期されてきました。
昨日ポンペオ国務長官は
「香港にはもはや高度な自治はない」との声明を出しました。
おそらくアメリカ政府は導入間違いなしとの情報を掴んだのでしょう、
今日の全国人民代表大会で香港への国家安全法導入が採決されました。
ポンペオ国務長官の声明のニュースが流れると、
中国が早速反応しました。
[百度新聞]美国威胁强力回应“港区国安法”,外交部:将反制!
翻訳版
[百度新聞]米国が”香港国安法”に強力に対応すると威嚇、外交部:対抗する!
記事は中国外交部趙立堅の定例記者会見の模様を報じたものです。
記者の質問文の中にわざわざ
「ロシア外相は香港問題は中国の内政問題と語っているが、アメリカは香港に国家安全法を導入したら制裁すると言い放ち、傲慢さを暴露したが、これに対する中国のコメントは?」
と恣意的に書いているように、
読者にアメリカが傲慢に内政干渉してきているのだと印象づけようとしています。
報道官趙立堅は先日のブログでも紹介した「3つの揺るぎない」“3个坚定不移”を持ち出して回答しています。
中国政府が国家主権、安全、発展の利益を保護する決心は揺るぎのない
”一国二制度”の方針を貫徹する決心は揺るぎがなく、
いかなる外部勢力も香港情勢に干渉することに反対する決心は揺るぎがない。
「3つの揺るぎない」“3个坚定不移”はこれからも
香港問題について中国当局が語るときには出てくる語句だと思います。
HSKや中国語検定に出題されるかどうかは知りませんが。
話を元に戻しますと、
ポンペオの声明に噛み付いたのが、環球時報記者の胡錫進氏です。
微博(中国のTwitter)でポンペオに噛み付きました。
翻訳はこちらになります。
「香港が高度の自治にあるかどうか、これは米国が決めることか!ワシントンは自惚れすぎて、ポンペオのような政治家が、香港の命運が彼らの手中にあると思うのは、身の程知らずだ。」
と呟き、
香港はアメリカの助けなどなくても、
中国本土との関係で金融センターの地位を保てるとまで言い切っています。
かなり威勢の良い呟きですが、
先ほどの趙立堅の記者会見の記事と、胡錫進の微博を読んで、
香港んお国家安全法導入は間違いないなと感じました。
ポンペオは「香港に高度な自治なし」と議会に報告したので、
議会は何らかの制裁を行うはずです。
関税上乗せなのか、中国要人のアメリカ資産凍結なのか、
まもなく発表されるはずのトランプ大統領の「強力な行動」もあり、
どのような制裁であろうと、中国が反撃しないはずがありません。
米中対立がどんどんエスカレートしている中、
日本でも安倍政権は、
「新型コロナウイルスは中国から来た」
「5G通信設備からファーウェイ排除」
を打ち出し、アメリカよりを鮮明にし始めています。
昨年来親中というより媚中の感のあった政策運営が、
唐突に離中に変わったのは何があったのでしょう?
最も安倍政権は政権発足以来中国からは距離をとっており、
なぜか昨年のG20辺りから中国に擦り寄ってました。
それが元に戻っただけとも言えるのですが、
全人代に合わせるように姿勢を変えたのはなぜだろうと考えてしまいます。
突然「全国的災害避難訓練実施」なんて言わなければ良いのですが。。。
<参考ニュース>
[自由亜州電台]ポンペオ国務長官議会に報告書を提出:香港はもはや高度な自治を持たない
香港版国家安全法 トランプ大統領”強力な”行動起こすと警告 どうなる米中対立!
アメリカが核実験再開を検討?! 騒がぬ日本、警戒する中国
[多維新聞]新型コロナ肺炎 鐘南山二次流行のリスクを警告 かつての武漢の流行隠しを暴露
中国語ニュースの翻訳版をこちらで掲載中
日本メディアとは異なる目線のニュースにも触れましょう。
完全な対訳ではありませんが、
間違いの指摘は大感謝いたします。