英国海外パスポート(BNO)を持つ香港人に、英国移住のための特別ビザ申請の受付が先月末から始まっています。一国二制度が崩壊した香港から香港人を救う動きは欧米で広がっています。
日本では香港についての報道が少なくなってしまいましたが、英国政府は、昨年中国が香港国家安全法施行したことを受けて、BNOを所持する香港人に、英国移民への道を開く特別ビザを導入しました。
左がBNO 右が香港パスポート
1月31日から特別ビザの申請が始まっており、アメリカに拠点を置く華人向けメディアの世界新聞網が、特別ビザを申請したある香港人女性をレポートしていました。
BNOを持つ香港人のKathyさんは、夫と子供と共に4月には英国へ移住するために、申請受付開始日にオンラインでビザ申請の予約を行いました。
「子どもたちの将来の教育のために、迷わず香港を出て英国に行きます。中国国籍を失うことに、なんの後悔もありません」とKathyさんはしっかりと語ったそうです。
香港政府は、BNOを使って香港を離れようとする香港人について、詳細に把握しようとすると、Kathyさんは考えていますが、彼女はビザセンターに出向いて申請手続きを行うことに恐れはないといいます。
Kathyさんはホテルのセールスマネージャーとして働いており、夫はエンジニアリングプロジェクトマネージャーで、夫婦で月に10万HKドル(137万円)以上を稼いでいます。
英国に移住した後のスキルを身につけるために、Kathyさんは昨年からネイルアートのコースで学んでおり、夫は配管・電気工事のコースで学び、2人ともすでに資格を取得しているので、英国に渡ってすぐに仕事に就く事ができると言っています。
香港の全人口750万人のうち、4割弱に当たる約290万人がBNOを所持し、特別ビザはBNOを持たない配偶者またはパートナーや、18歳以下の子女の同行を認めているため、全人口の7割に当たる540万人がビザの申請資格があります。
英国に渡ったら生活基盤をリセットする必要があり、かつ香港でのキャリアを生かした希望の職種につける保障もなく、移住には多額の費用がかかるため、実際に申請するのは30万人程度だと見込まれています。
中国政府は1月31日から、BNOを有効な海外渡航書類と認めていませんが、香港人は香港を出入境するときにはIDカードだけで手続きができるため影響はありません。
中国政府もそれは承知しており、「BNOの無効化」は英国政府への対抗処置に過ぎません。しかし香港人の出国を制限するために、出入国管理法の改正案が香港立法会で審議されています。
[あわせて読みたい記事]
参考記事
<世界新聞網>已申請BNO港婦:為孩子教育 喪失中國籍也無悔