最近、香港政府は法律を改正して、保安局長官に香港からの出国を制限する権限を与える計画を立てていると報じられています。 香港弁護士会は、この状況を不穏なものと警戒しているといいます。
昨年の香港版国家安全法施行以来、香港人の海外移住の増加に歯止めがかからず、香港政府は、保安局長官に香港からの出国を制限する権限を与えるように出入国管理法を改正しようとしています。
香港立法会で審議されている『2020年出入国管理法(改正)法案』では、保安局長官が出入国管理局長に、特定の人物を出国用の移動手段(航空機、船舶、鉄道など)に乗せないように指示する権限を与えています。
香港弁護士会は、このような権限の必要性が改正法案で、全く説明されていないとして、深い懸念を表明しています。
犯罪の容疑がある場合や、伝染病予防の目的で、香港出国を制限する仕組みは既にあり、言い換えれば、今回の改正法案では、保安局長官が裁判所を迂回して、正当な理由なく香港人の出国を制限することが可能となっていると言えます。
『2020年出入国管理法(改正)法案』の第3項は、出入国管理条例に新たに第6A項を追加し、保安局長官には、航空機などの乗客に関する情報を出入国管理局長官に提供するための規則を作る権限を与え、出入国管理局長官には、航空機などに個々の乗客を乗せてもよいか否かについて指示する権限を与えることを定めています。
香港弁護士会は、この改正案により、移動の自由や出国の自由など、基本的人権が制限されると指摘しています。
香港の現行法でも、国家安全保障、公序良俗、公衆衛生、他人の自由の保護のために、香港人の出国を制限することが可能だとも指摘しています。
また香港弁護士会は、出国禁止が必要であるのかどうかを判断するのは、裁判所が行うべきであって、保安局長や出入国管理局長が行うべきでないと主張しています。
このように香港弁護士会の抵抗はあるものの、昨年、民主派議員が辞任して以来、香港立法会は親中共派議員に完全に支配されており、政府が提出した法案は何ら抵抗無く可決されるのが一般的です。
昨年7月の香港国家安全法施行以来、欧米諸国の香港人支援の動きは強まっており、イギリスは英国国民(海外)(BNO)パスポートの取得条件を緩和したり、カナダは香港人の就労ビザ要件や移民条件を緩和してきました。
中国共産党はこれらの動きに反発してきましたが、香港人が逃亡するのを防ぐために、香港の法律改正に乗り出しました。
今のところ香港人が適用範囲のようですが、今後外国人を狙った法改正がないとは言い切れません。
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参考記事 *>s
<自由亜州電台>香港政府修例任意限制任何人离境 大律师公会: 令人感到不安
http*://bit.ly/3qfuwHc