日本ではほとんど報じられてませんが、オランダ議会は、新疆ウイグル自治区のウイグル人に対する人権侵害を、「ジェノサイド」と認定する動議を可決しました。同様の決議はカナダ議会に次ぐもので、欧州諸国では初の可決となりました。
ドイツ国営の国際メディアの徳国之声の報道によりますと、オランダ議会は25日に、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒に対する中国の人権迫害を「ジェノサイド」と呼ぶ動議を可決しました。
動議には拘束力がないため、政府や国民に何らかの行動を義務付けるものではありませんが、民間レベルで広がるウイグル人支援の動きを後押しします。
動議では、中国ではウイグル人に対する大量虐殺が行われていると認定し、中国政府が行っているウイグル人の強制収容所への収監や、ウイグル女性への不妊手術などの処置は、国連総会決議260号で採択したジェノサイド条約に該当するとしています。
オランダのマルク・ルッテ首相が所属し、議会の第1党である自由民主国民党はこの動議に反対票を投じましたが、これは「ジェノサイド」という言葉は使いたくないからで、ウイグル人の状況が憂慮すべき状況にあり、オランダは他の国と協力して問題に取り組むと述べています。
これに先立つ22日にはカナダ議会で、中国が新彊でウイグル人を迫害する行為は、ジェノサイドを構成するという動議を可決しています。
カナダ議会の動議も拘束力はありませんが、カナダ・トルドー政権に、中国が新疆でウイグル人を大量虐殺していると公に認めさせる圧力になるとされています。
多くの欧州諸国で、同様の動議が議会に提出されており、今後各国議会で可決されると見込まれています。
中国駐ジュネーブ国連大使は、西側諸国はウイグル人問題を利用して、中国の内政に介入していると非難しています。しかし人権問題は内政干渉にならないとするのが国際社会の常識です。
もっとも、中国の場合はチベット・ウイグル問題に限らず、南シナ海問題、台湾威嚇問題、尖閣領海侵入問題も全て『自国領土』で起きている中国の内政だと主張しています。
図星を突かれて困ったときにも、内政問題を主張することが多いです。
オランダ議会で動議を起草したのは、中道右派民主66(D66)のSjoerd Sjoerdsma議員です。彼はこれ以外に国際オリンピック委員会に対して、2022冬季五輪の開催地を北京から移動するように働きかけています。
Sjoerd Sjoerdsma議員は、「ウィグル人が大量虐殺という残虐行為にさらされているという認識は、世界にとって無視できないほどのものであり、私たちが行動を起こすことを余儀なくされている」と述べています。
中国のウイグル人に対する人権は危害問題は、米トランプ前政権が退任直前にジェノサイドと断定し、バイデン政権でも今のところ撤回されていません。
カナダ議会、オランダ議会とジェノサイド認定が続き、欧州各国も続きそうな状況にある中で、2022北京冬季五輪のボイコットや開催地変更を訴える声も大きくなっています。
バイデン政権のスポークスマンも、2020冬季北京五輪に参加するかどうかの最終決定を下していない、と述べています。
日本のマスコミはウイグルのことを報道しませんし、「ジェノサイドとは認めない」と発言する外務官僚がいたり、日本の人権問題に対する冷淡な態度が目につきます。
最近になってようやく、日本企業12社がウイグル強制労働製品の使用を禁止する方針を決めたと報じられ、遅まきながら日本人も中国の人権問題の存在に気づきつつあります。
日本では北京五輪ボイコットの動きについて、ほとんど報じられませんが、欧米諸国がボイコットしたら冬季五輪は中韓日の極東アジア大会になってしまいます。
むしろ日本は長野や札幌を代替え地として提案し、2022年に冬季五輪と、延期している東京夏季五輪を開催できるように働きかければ良いのにと思います。
[あわせて読みたい記事]
参考記事
<徳国之声>荷兰国会通过动议 认定新疆维吾尔遭“种族灭绝”
http*://bit.ly/3kwRvvd