中国政府が新疆ウイグル自治区で強制労働や労働力移設を推進している証拠である、中国南開大学の報告書は、2019年12月にネット上に発表されました。ドイツの新疆ウイグル専門家により分析されています。
中国南開大学中国财富経済研究所の報告書は、2018年半ばに新疆で行われた現地調査に基づいており、『新疆・和田地区におけるウイグル人の労働移転と貧困削減の働きに関する報告書』(南開報告書)として2019年12月にネット上にアップロードされました。(その後削除されました。)
この報告書は元来は、中国共産党による貧困撲滅運動に沿った調査報告書でしたが、南開報告書を入手したドイツの新疆ウイグル専門家エイドリアン・ツェンツ氏が分析しました。
ツェンツ氏によると、中国政府が新疆ウイグル自治区で行っているウイグル人の労働力移転は「少数民族ウイグル人の漢族同化」と「新疆ウイグル自治区の人口密度の低下」を目的としていると指摘しています。
南開報告書では、ウイグル人労働力の移転は、ウイグル人が貧困から脱出するための最も基本的な方法であり、新疆ウイグル自治区のウイグル人の人口密度を低下させることによって、ウイグル人を漢化し、同化するための重要な方法である、としています。
ツェンツ氏は南開報告書の分析により、160万人近くのウイグル人が『余剰農村労働者』として強制労働の危険にさらされていると試算しています。
新疆の『教育訓練センター』
南開報告書は、新疆南部地域は、国家レベルの少数民族貧困地域であり、深刻な暴力の歴史を持つ社会的に不安定な地域であるとし、「新疆南部から漢民族地域への移転は、新疆の貧しい少数民族に良い影響を与え、彼らの収入を大幅に増やし、思想を高め、全民族・地域の長期的な安定に大きく貢献し、政治的、経済的、社会的な目標の統一を達成する」としています。
南開報告書では、ここ数年で「すべての」または「かなり多くの」ウイグル人が『教育訓練センター』に入所させられ散ることを認めておいます。
中国政府が新疆ウイグル自治区のウイグル人を分類し、「問題のある」ウイグル人を処理したことや、「問題のない」ウイグル人への『教育訓練』を行ったことも確認し、中国政府の新疆に対する短期的で抜本的な対策は絶対に必要であり、効果があったとしています。
国際犯罪法の専門家エリン・ファレル・ローゼンバーグ氏は、ツェンツ氏は南開報告書の分析結果には、中国政府のウイグル人に対する行為は人道に対する犯罪と結論づける根拠があると述べています。
日本のマスコミは、ウイグル人権問題のことを、ほとんど報じませんし、明確な証拠は中国から出てくることは少ないのですが、中国の公式文書を各国の専門家がしっかりと分析すると、人権侵害の証拠が洗い出されるようです。
今後も専門家の分析結果に注目していきたいと思います。
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参考記事
<自由亜州電台>中共内部文件披露同化新疆穆斯林人口策略
http*://bit.ly/3e0JOMv
<徳国之声>德国专家解析中国扶贫报告 证实北京在新疆实施强迫劳动
http*://bit.ly/3cfpDrZ