新型コロナワクチンの接種履歴を記録した「ワクチンパスポート」は、ヨーロッパで導入に向けた検討が進んでいます。中国でも国際旅行健康証明書が導入されると発表されましたが、中国で製造されたワクチンのデータが不足しているため、各国で認められない可能性が出てきました。
中国の「ワクチンパスポート」である国際旅行健康証明書には、保有者の個人情報に加えて、ウイルス検査の日付と結果とワクチン接種状況が記載された健康証明書です。
3月7日に開かれた十三期全国人大四次会議での外交部長記者会見で、王毅外交部長から、国際旅行健康証明書の導入が発表されました。
国際旅行健康証明書サンプル
中国在住の一部の外交官からは、中国のワクチンパスポート導入は「前進」と評価する声が出ていますが、中国ワクチンのデータの不透明さが、他国での承認を妨げる可能性があるとも述べています。
イスラエルのイリット・ベン・アッバ駐中国大使は、「ワクチンを相互に理解し始めるためには、中国のワクチンが何であるかを本当に理解する必要がある」と語っています。
アッバ駐中国大使の意味は、中国製ワクチンはデータが少ないので、本当に効果があるのか不明だと言うことです。
イスラエルは、ギリシャ、キプロス、セイシェルとの間で、ワクチンを接種した国民の入国を認めることに合意しています。 その理由の一つは、これらの国ではすべて米国のファイザー社が開発したワクチンを使用しているからだとアッバ駐中国大使は説明しています。
中国では、4種類の新型コロナワクチンがあり、シノファーム北京、シノファーム武漢、シノバックの不活化ワクチン、天津康希诺のアデノウイルスベクターワクチンが承認されています。 しかし、中国のワクチンの有効性やワクチン情報の透明性には懸念が持たれています。
アッバ駐中国大使は、「中国との合意は可能だが、双方がワクチンとその効果に関する情報を共有する必要がある 」と述べています。
フランスのマクロン大統領は先月に、中国のシノファーム社やシノバック社が開発したワクチンについて、「臨床試験に関する情報が共有されていないため、その有効性がわからない」と警告しました。
中国は中国製ワクチンを接種した外国人に対して、ビザ発給を優遇する方針で、駐パキスタン中国大使館は、中国製ワクチンを接種した証明書を持っている人には、中国へのビザ申請を容易にするという通知を出し、駐フィリピンの中国大使館も同様の発表をしています。
中国外交部定例記者会見で趙立堅報道官は、「中国はWHOが承認したファイザー、アストラゼネカ、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンを受け入れることを検討しているのか。そのワクチンを接種した人にも将来的にビザの便宜を図るのか」との質問を受けました。
ワクチンパスポート(黄色)
趙立堅報道官は「関係するワクチン会社は、中国の関係当局に申請書を提出してください。 中国の関連当局は、法律に則って、コンプライアンスに則って判断します。」と答えています。
日本では河野ワクチン接種担当大臣が、「国際的にワクチンパスポートが必要だと言うような状況になれば、日本も検討せざるを得ない」と発言しているように、あまり積極的ではないようです。
河野大臣の言う通り、諸外国が要求するようになれば、日本も導入せざるを得なくなりますが、欧州で中国製ワクチンを認めなかったら、中国も対抗して欧米ワクチンを認めないでしょうし、EU諸国には英国アストロゼネカ製を接種停止する国も出てきているので、かなり面倒なことになりそうです。
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参考記事
<美国之音>中国“疫苗护照”如何获国际认可 缺乏疫苗数据或成一大阻碍
http*://bit.ly/3s4728Z