中国が台湾の農水産物の輸入を、突然禁止したことに対する対抗策として、台湾の行政院議員である鄧振中氏は、中国への半導体チップ輸出を減らすことを提案しました。 これは中国のスマートフォンや電気自動車に打撃を与えることが見込まれます。
米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。
中国は昨年、台湾のパイナップル、釈迦頭、レンブを「何度も害虫が検出された」として、相次いで輸入禁止としました。そして、今月に入り、台湾産のハタを「禁止薬物が検出された」として輸入禁止とし、台湾産のシロギスのパッケージから「新冠コロナウイルスが検出された」として輸入を停止しました。
台湾行政院の 鄧振中政務委員(無任所大臣)は、スイスのジュネーブで開催された世界貿易機関(WTO)閣僚会議に出席し、台湾が「中国の妨害」に遭遇したと公に述べた上で、中国への半導体チップ輸出量を減らすことをほのめかしました。
鄧振中政務委員は、ロイター通信のインタビューに対し、「ロシアのウクライナ侵攻は、世界的な食料価格の高騰を招き、貧しい国々では飢饉が起きる可能性がある。仮に中国が台湾に軍事攻撃を仕掛けた場合、半導体チップの供給が不足し、中国でスマホや電気自動車が作れなくなり、世界貿易への影響はより大きくなる。」と述べています。
2021年の世界の半導体生産能力は、月間2160万枚(200mm ICウェハ換算)で、国別内訳は、トップが韓国の23%、2位が台湾の21%、3位が中国の16%、4位が日本の15%、5位が米国の11%となっています。
需要面では、中国が30%以上を占める世界最大の半導体需要国であり、需給状況を比較すると、明らかに中国の半導体自給率は相対的に不十分であることがわかります。
特に最近、中国の半導体の国産化は、米国の政策的デカップリングに直面して、期待通りには進んでいません。
実は、台湾は最先端の半導体プロセスでは重要なポジションを占めており、線幅10nm以下の領域では、台湾の世界シェアは6割を超えています。
特に3nmプロセスにおいては、TSMCがほぼ独占サプライヤーと言える状況であり、台湾が世界の半導体において、絶対的なアドバンテージを持っていることが明らかです。
現在、中国の半導体自給率は16~18%程度であり、海外からの供給に頼らざるを得ません。
中国が台湾から関連半導体チップを入手できなくなると、スマートフォン、自動車用電子機器、IoT関連製品などが、半導体不足で生産できなくなります。
実際に台湾が、中国への半導体輸出を禁止するかどうかは決まっていませんが、中国に対する牽制にはなるでしょう。
今のところ、中国政府や中国メディアは、何の反応も示していませんが、何かコメントが出たら、このブログでも報じていきます。
参考記事
<自由亜州電台>反制中国禁口台湾农渔产品 台湾官员提议削减向中国出售半导体晶片
http*://bit.ly/3A7Mkfh