黄大仙の blog

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米紙:蔡英文・マッカーシー会談に穏やかな対応の習近平 国際的イメージへの配慮か

蔡英文台湾総統5日カリフォルニアでジョン・マッカーシー米下院議長と会談しました。中国政府の反応は、昨年のナンシー・ペロシ前議長の訪台時の大きな動きに比べれば、比較的穏やかでした。ブルーバーグは、国際的なイメージ、経済的な配慮、来年の台湾総統選挙への影響が、中国が遠慮している主な理由であると分析しています。

  中華民国唯一の国営通信社である中央通訊社の記事より。

蔡英文総統(左)とマッカーシー下院議長

  ナンシー・ペロシ前米下院議長(民主党)は昨年8月、下院議長として25年ぶりに台湾を訪問しました。

 

  この時、中国は1時間足らずでミサイル実験と大規模な実弾軍事演習を発表し、アジア太平洋地域内外に衝撃を与えました。

 

  この尺度からすると、蔡英文総統が米国でマッカーシー下院議長と会談したことに対する中国の反応は、比較的穏やかなものでした。

 

  中国は「蔡・マッカーシー会談」を非難する声明を出し、空母『山東』の編隊をバシー海峡(台湾。フィリピン間の海峡)に送り込んだものの、台湾国防部は6日朝、過去24時間に台湾近海で目撃された中国軍は、航空機1機と船舶3隻だけだったと発表しました。

 

  ブルームバーグの分析によると、中国の習近平国家主席には、今のところ静観する理由がいくつかあるが、今後数日間で、より積極的な軍事対応を計画している可能性もあるといいます。

 

  習近平はフランスのマクロン大統領とEU執行委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長を北京に迎え、中国が提案したウクライナの平和計画への支持を集め、先端半導体などの新技術への中国のアクセスを阻止する米国の取り組みに対抗しています。

 

  5日午後、北京に到着したマクロン大統領は、中国が「蔡・マッカーシー会談」に「過剰反応」する意図があるとは思わないと述べています。

 

  オーストラリア国立大学ANU)の台湾研究プログラムの講師である宋文笛氏は、「もし中国がこの時点で軍事的緊張を急激に高めれば、マクロン大統領やフォン・デア・ライエン委員長は困惑し、欧州と中国の関係に関連するすべてのハト派の声を、長期にわたって弱めることになる」と述べています。

 

  昨年のペロシ前下院議長の訪台時の中国の大規模軍事演習を受けて、フィリピンが米国との軍事関係の強化に乗り出し、韓国と日本は数十年にわたって両国の安全保障協力を妨げてきた紛争を脇に置くことで合意し、オーストラリアは米国と英国からの原子力潜水艦購入に向けてまた一歩踏み出しました。

 

  また、この時の軍事演習によって、多くの欧州の指導者が中国をロシアと同じカテゴリーに分類し始め、プーチンウクライナに対して行ったように、中国当局が近いうちに台湾を全面的に侵略する可能性があることを確認しています。

 

  欧米各国政府や企業は中国との関わりを見直し始めており、このことは長期的な経済成長の見通しはもちろん、ゼロコロナ政策の終了から弱々しく回復している中国を弱体化させる恐れがあります。

 

  このため、中国はフランスやオーストラリアなど米国の主要同盟国との関係を修復し、世界的な孤立を回避しようとしているように見えます。

 

  習近平が自制しているもう一つの重要な要因は、20241月に行われると予想される台湾総統選挙です。

 

   過去の経験から、軍事的な脅威が強まれば、蔡英文総統が所属し、台湾独立を志向する民進党が有利になる傾向があることが明らかだからです。

 

  一方、国民党の馬英九元総統が中国を訪問中で、台湾の現・元指導者が中国を訪問するのは1949年以来、初めてのことです。 もし、このタイミングで中国当局が台湾を威嚇すれば、国民党の立場は悪くなってしまいます。

 

  蔡英文総統も選挙結果を気にしているが、民進党も総統候補と目される頼清徳氏も不必要な挑発は避けたいと考えており、「蔡・マッカーシー会談」の会場を台北ではなくカリフォルニアにしたことで、中国を刺激しにくいと見られています。

 

  蔡総統が現職の米下院議長と会談するのは、昨年のペロシ前議長に続き2回目で、米下院議長が台湾総統と会談するのは、1979年に台湾と米国の国交が断絶して以来3回目となります。

 

  最初は199742日、当時の李登輝総統がニュート・ギングリッチ下院議長率いる代表団を台北に迎えた時です。

 

  中国も「蔡・マッカーシー会談」に対して中国内の世論をうまくコントロールしており、元環球時報編集長の胡錫進も発言は控えめです。

 

  昨年8月のペロシ氏の訪台前、胡錫進は「米軍機がペロシ氏の訪台に同行・護衛するならば、中国人民解放軍が撃墜することもある」と脅していました。

 

  しかし、彼は5日未明、微博に「中国は蔡英文に代償を払わせる」「ラウンドはまだ始まったばかりだ」と投稿しただけです。

 

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  蔡英文台湾総統の米国への『立ち寄り』、下院議長との会談に対して、中国の穏やかな対応は、『大人の対応』なのか、『嵐の前の静けさ』なのか、目が離せません。

参考記事

<中央通訊社>彭博:习近平为修复国际形象等因素 对「蔡麦会」表现克制

https://bit.ly/413dP3F