黄大仙の blog

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中国:若者の失業率は高いままなのに、特定の分野では労働力が不足

中国では、特定の分野では労働力が不足しているにもかかわらず、若者の失業率は空前の水準に達していると指摘されています。中国の若者は高学歴であればあるほど、工場で働きたがらないのです。

  フランス国営ラジオ放送局RFIの記事より。

失業率は高いが特定分野では労働力不足

  中国では、若者の失業率が2023年ほど高くなったことはありません。6月には過去最高の21.3%に達しました。 その後、7月には新卒者が労働市場に参入し、この数字がさらに悪化することが予想されたため、当局は情報を公表しないことを決定しました。

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  若者の失業率が高い理由はよく知られています。中国経済3年間続いた過酷なゼロコロナ政策からまだ回復しておらず、輸出は低迷し、不動産は未曾有の危機に見舞われ、国内消費は伸び悩んでいます。

 

  中国経済の比較対象となる基礎データがもともと低水準であるにもかかわらず、それでも、中国は今年、年初に設定した「5%程度」の成長目標をギリギリ達成するかもしれません。

 

  不況を背景に、一般的に最初に打撃を受けるのは経験の浅い若者です。中国の公式発表によると、9月の都市部全体の失業率は5%と低いが、「農村人口」とみなされる出稼ぎ労働者を除外しているため、批判を浴びています。

 

  若者が不釣り合いに影響を受けているのは、彼らが主にサービス業、民間部門、不安定雇用など、不況の影響を最も受けやすい部門で働いているからであり、公共部門や工業企業では若者は比較的少なくなっています。

 

  さらに追い打ちをかけるように、2021年から2022年にかけて、中国当局はアリババ、テンセント、美団といったオンライン・プラットフォームに対する規制措置を開始しました。

 

  衝撃的だったのは、20217月に家庭教師業が事実上禁止されたことで、これにより数十万人の教師の仕事がなくなりました。

 

  同時に、不動産開発業者の負債を減らすキャンペーンにより、建設労働者や建築士、不動産ブローカー、不動産ローン仲介業者など数十万人の雇用が失われました。

 

  中国の企業家たちは、ゼロコロナ政策によるロックダウンの記憶が新しいため、中国共産党が次にどこを攻撃するのかを探っている状況です。

 

  若者の失業率の実際の数字は、おそらく公式の数字よりもずっと悪いだろうと思われます。なぜなら、3ヶ月間仕事を探しても見つからなければ、もはや統計に入らないからです。

 

  北京大学の張丹丹教授(経済学)は、3月に上海郊外で行われた調査に基づき、実際の数字は46.5%にもなると推定しています。この分析は今夏、経済誌『財新』のウェブサイトに掲載された直後に検閲されました。

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  教育機関に対しても、失業率削減のための役割を果たすよう圧力がかかっています。ある中国有数の大学の教授は、名前は伏せたが、「大学は、学生が就職して契約を結ぶまで卒業証書を発行しないようになりつつある」と語っています。

 

  しかし、香港のハンセン銀行のチーフエコノミストである王丹氏は、「多くの若者は仕事を見つけることができるので、若者の失業が中国で大きな問題だとは思わない」と述べました。2023年の大学卒業者1200万人は一般的に、しばらくの間彼らがニートをする余裕のある裕福な家庭の出身です。

 

  2021年に労働市場に参入する若者の58%が高等教育(大学以上)を修了しているのは事実ですが、2012年にはわずか30%でした。

 

  また、飲食業や工業など特定の分野では、採用に力を入れているのも事実です。

 

  上海郊外にあるスイス企業(LXプレシジョン)のオーナー、ニコラス・ミュジーは、「若者は工場で働きたがらない。工場は若者自身だけでなく、その親たちからも劣悪な仕事だと思われている。」と述べています。

 

  中国で30年以上働いているこの社長は、「2010年代初頭以前は、出稼ぎ労働者を採用するのはずっと簡単でした。地方から都市部へ大量の出稼ぎ労働者が流入しており、彼らにとっては、どんな仕事をしても問題なかったのだ。」と続ける。

 

  「しかし、今は違う。かつて生産ラインで働いていた地方の若者の多くは、今では食品宅配の配達員など、オンラインビジネスで働くことを好むようになった。ブルーカラーの労働者を惹きつけるために、企業は仕事量や給与の報酬を調整するだけでなく、より歓迎される職場環境や文化を提供している。」

 

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  若者が高学歴になる程、ブルーカラーを避け、ホワイトカラーに就きたがるのはどこの国でも同じことなのでしょう。

 

  それにしても大卒者の『卒業即失業』の対策が、『就職が決まってない学生は卒業させない』とは、さすが中国式解決法には感心しますね(😓😓)

 

  私は中国ではずっと製造業に籍を置いていましたが、90年代には、観光バスをチャーターして農村部に乗り込み、現地で採用活動(面接)を行い、採用者をバスに乗せて帰ってくるという採用キャラバンを定期的に行っていました。

 

  毎回応募者が殺到して篩にかけるのが大変でしたが、05年頃には応募者が集まりにくくなってましたので、この頃にはより高等教育に進学する若者が増えていたのでしょう。

参考記事

<rfi>中国:某些行业的劳动力短缺无法掩盖超高的青年失业率

https://x.gd/m9zak