黄大仙の blog

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台湾国家安全局長:太平島警備のため、南シナ海に大型艦船を配備か

台湾の蔡明彦国家安全局長は116日、台湾の沿岸警備隊は現在も南シナ海の係争海域に船を派遣し、台湾の事実上の支配下にある最大の島、太平島への定期巡航を実施しており、将来的にはさらに大型の船を次々と太平島に派遣する予定であると述べました。

  米国国営国際放送の美國之音の記事より。

太平島を守備する台湾軍兵士

  太平島は南沙諸島スプラトリー諸島)の北部に位置し、南シナ海の係争海域で最大の自然島であるだけでなく、淡水が湧く唯一の島でもあります。

太平島の位置 Google Mapより

  太平島は常に台湾の管理下にあり、現在約200人が駐留しています。一方、中国本土、ベトナム、フィリピンはいずれも太平島の領有権を主張しています。

 

  台湾メディアの報道によると、米海軍ミサイル駆逐艦デューイ(DDG-105)は3日、南シナ海で「航行の自由作戦」に従事し、一時は太平島周辺12カイリを航行したが、中国海軍の駆逐艦が同じ海域に現れ、米海軍艦船と対峙しました。

 

  国際海上緊急通信チャンネルの監視によると、米中両国の海軍艦艇は互いに怒鳴りあったが、衝突はなかったとのことです。

 

  台湾立法院の外交国防委員会で6日、国民党の江启臣議員は、米中両国の艦艇が太平島に接近していることに懸念を示しました。また、「太平島では米中艦船の衝突が目撃されることがあり、両者の予測不可能な銃撃戦を特に心配している。」と述べました。

 

  これに対して蔡明彦国家安全局長は、「国家安全局はスプラトリー諸島の太平島における中国本土の活動パターンを分析し、高、中、低強度の状況を含む様々な対応計画を策定している。海警局は現在も定期的なパトロールを計画しており、より大型の船舶が次々と太平島に配備される予定である。」と述べました。

 

  国民党の陳以信議員は、なぜ米中の艦船が同時に太平島近海に現れたのかについて懸念を示しました。

 

  蔡明彦国家安全局長は、「関係する艦船の位置は完全に把握している。 もし太平島から12海里以内に入れば外交部に報告し、外交部は適切に対処する。」と発言しました。

 

  太平島はかつて台湾軍が警備しており、海兵隊が駐留していましたが、その後海兵隊は撤退し、現在は台湾沿岸警備隊が警備・管理しています。

 

  江启臣議員は蔡明彦国家安全局長に対し、「なぜ東沙には海兵隊が駐屯しているのに、南沙の太平島は考慮されないのか」と再度質問しました。

 

  蔡明彦国家安全局長は、「海兵隊の太平島への復帰は全体として評価する必要があり、実際の状況に照らして取るべき行動を検討する必要がある。状況が適切でなければ、どのような行動も地域の緊張を高める指標となる可能性があり、慎重に評価しなければならない。国家安全局は南シナ海の実際の状況を評価した上で、関連する政府機関に意見と勧告を提出し、参考にしてもらう。」と回答しました。

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  南シナ海は中国がいわゆる『九段線』の内側の領有を主張していますが、すべての島々を中国が実効支配しているわけではなく、台湾軍が駐留して台湾が実効支配している島々も点在しています。

 

  1947年に中華民国南シナ海に『十一段線』を描いて領有を宣言しました。

 

  1949年に国民党が台湾に逃れると、大陸の中華人民共和国、台湾の中華民国ともに『十一段線』の領有を主張していました。

 

  インドシナ戦争中の1953年、中華人民共和国北ベトナムを支援していたため、北ベトナム沖の2本の線を消去して『九段線』に書き直しました。

中国の主張する九段線

  20238月に発表した2023年版標準地図では、南シナ海を囲む点線は10本に増えており、多くの国から抗議されています。

deepredrose.hatenablog.com

2023年版地図の”十段線”

 

  中華民国(台湾)は一貫して『十一段線』を主張を継続していましたが、2015年に蔡英文民進党政権が誕生してからは『十一段線』の主張はしていません。(放棄したとの宣言もありません)


 


 

参考記事

<美國之音>台湾国安局长:将陆续部署大型船舰前往南中国海守卫太平岛

https://x.gd/gi2SQ