携帯電話製造・輸出の最大拠点の中国では、近年携帯電話輸出が減少を続けており、ピークだった2015年の13億4300万台に対し、2022年には8億2200万台と7年間で5億2100万台減少し、中国メディアは「携帯電話輸出が再びピークに達するのは難しいかもしれない」と露骨に伝えました。
米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。
中国税関総署のデータによると、今年10月の中国の携帯電話輸出台数は8,111万台で、前年同期比で増加したものの、1~10月の輸出総台数は6億4,200万台で、年率6.4%の減少であり、依然として減少傾向にあります。
統計によると、中国の携帯電話輸出台数は、2015年の13億4300万台をピークに年々減少し、2022年には2015年と比べて5億2100万台減の8億2200万台となりました。
中国は携帯電話製造・輸出の最大の拠点であり、近年携帯電話輸出の減少が続いていることについては、世界の携帯電話消費の低迷が大きな要因のひとつであるとしています。
市場調査会社カウンターポイントによると、世界のスマートフォン出荷台数は2017年に15億5000万台となったが、2018年に初めて減少に転じ、2022年の出荷台数は12億台に減少しました。
中国機械電子製品輸出入商業会議所の高士旺理事は、「消費者の機種変更時期の長期化により、スマートフォンの需要は世界的に頭打ちになっている。」と述べました。
世界的な携帯電話消費の低迷に加え、韓国のサムスンが2014年以降、中国市場から徐々に撤退し、中国国内の工場を閉鎖してベトナムなどにシフトしたことも、2015年以降の中国の携帯電話輸出量に大きな影響を与えたと高士旺理事は指摘します。
現在、サムスンは中国での生産は基本的になく、アップルは近年、中国での生産ラインを徐々に中国外にシフトさせています。
一方、2015年以降、中国国内メーカーの携帯電話工場も積極的に海外生産拠点を拡大し始めており、シャオミは2015年にインドに初の工場を開設し、同年、Vivoはインドに工場を借りて現地生産を実現し、2016年にはOPPOも約15億人民元(約311億円)を投資してインドに工場を建設しました。
2015年、インドネシアは国内現地生産の要件を打ち出し、海外からの一部モデルの輸入を段階的に禁止しました。同年、OPPOはインドネシアにOPPO初の海外工場となる電子機器工場を買収しています。
報道によると、インドネシアとインドが中国の携帯電話ブランドの2大海外生産拠点になったと指摘しました。Vivoのインド、トルコ、パキスタン、バングラデシュにある工場の年間生産能力は合計約7,200万台で、そのうちインドの工場の年間生産能力は6,000万台です。
ここ数年、中国の携帯電話ブランドを含む大手携帯電話生産工場が相次いで生産ラインを中国国外に移転していますが、人件費への配慮に加え、インドを含む一部の国が輸入税率引き上げなど、完成品携帯電話の輸入に制限を課していることも大きな理由です。
報道によると、中国の携帯電話ブランドが海外に工場を設立するのは順風満帆とは言えないが、例えば、昨年、Vivoはインドの法執行機関の家宅捜索を受け、シャオミも同年、インドの法執行当局に違法送金の疑いで、約48億元(約996億円)相当のインド国内の資産が差し押さえられた。
しかし、それでも長期的に見れば、携帯電話の生産ラインが中国から『出て行く』ことは避けられないと業界は考えているといいます。
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かつてはスマホ・携帯電話と言えば中国で生産して世界中に出荷していましたが、近年海外への生産移転が進んでいます。
中国経済回復の道のりは厳しそうです。
参考記事
<世界新聞網>中国手机7年巨变 年出口量少了5亿支