中国の半導体設計企業が、中国の半導体産業に対する米国の制裁拡大のリスクを回避するため、先端半導体の一部の組み立てをマレーシア企業に求めているとの報道が増加しています。一方、中国の大手電気自動車メーカー3社は、アメリカ国境の南側に工場を建設する準備を進めています。
米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。
この件に詳しい3人の情報筋によると、一部の中国半導体企業は、マレーシアのチップパッケージング企業にグラフィックス プロセッシング ユニット(GPU)の組み立てを依頼していると、ロイター通信が報じています。
同報道によると、この要請には米国の制限に違反しない組み立てのみが含まれており、チップ·ウェーハの製造は含まれていないとのことです。
米国政府は、人工知能(AI)のブレークスルーを促し、スーパーコンピューターや軍事アプリケーションの発展を促す可能性のあるハイエンド·グラフィック·プロセッサーへの中国のアクセスを制限するために、GPUの販売や最先端のウェハー製造装置に対する制限を強めています。
アナリストは、「こうした制裁が実施され、AIブームが需要を牽引しているため、中国の小規模な半導体設計企業は、中国内で十分な高度パッケージングサービスを得るのに苦労している。」と述べています。
「今のところ、米国の輸出規制の対象ではないが、この分野では最先端の技術が必要とされることがあり、これらの企業はいつか中国への輸出規制の対象となることを恐れています。」
マレーシアは半導体サプライチェーンの主要拠点のひとつであり、中国のウェハー企業が中国国外に組み立てのニーズを広げるにつれて、より多くのビジネスを獲得するのに有利な立場にあると見られています。
中国の華天科技(Huatian Technology)の関連会社であるユニセム社や他のマレーシアのウエハー·パッケージング企業は、中国の顧客からのビジネスや問い合わせが増加していると、関係者は述べています。
ユニセムの謝圣德(John Chia)会長によると、米国の貿易制裁とサプライチェーンの問題により、多くの中国のウエハー設計会社が中国内外でのビジネスをサポートするため、中国国外のサプライヤーを増やすためにマレーシアに来ているとのことです。
中国の半導体新興企業2社の投資家によると、中国企業は中国国外で半導体を組み立てることに関心を持っているとのことです。
これとは別に、英フィナンシャルタイムズ紙は、中国の上汽MG、BYD、奇瑞汽車(メキシコでチレイとして知られる)の3社が、メキシコ政府関係者と今年中に工場候補地の選定について協議していると、この件に詳しい複数の関係者の話として報じています。
情報筋によると、上汽MGはメキシコに15億ドルから20億ドルの工場を建設する計画で、BYDは数億ドルの初期投資で工場を建設中だとのことです。
この問題に詳しい関係者によると、米国政府高官はメキシコ政府高官との会合で、中国の投資についてより広範な疑問を提起したといいます。
メキシコ政府関係者は、中国からの投資を検討する際には、米国を怒らせるリスクがあるため慎重にならざるを得ないと認めています。
中国の自動車メーカーは近年メキシコで目覚ましい成長を遂げており、メキシコの自動車販売台数の5分の1近くを占めています。
++++++++++++++++++++++++++++
アメリカによる先端半導体の中国への輸出規制は、中国の半導体企業への打撃は強烈なようで、2023年はすでに1万900社が消えています。制裁逃れのために中国外に出ていく企業も増えているようです。
半導体とは別に、自動車メーカーも国外に工場を作る動きが出てきており、中国国内の空洞化が始まっているのでしょうか?
参考記事
<世界新聞網>躲美制裁 路透:中企拟绕道马来西亚组装高端晶片