オランダハーグにある国連国際仲裁裁判所で、
2016年7月12日に南シナ海における中国の行動に対し、
初めての国際司法判断が下されました。
判決は中国の南シナ海における行動は、
国連海洋法条約(UNCLOS)違反であると判断されました。
あれから4年が過ぎ、勝訴したフィリピンが中国に対して、
再び国際裁決を遵守するよう訴え始めました。
日本ではほとんど報じられないこの一件。
フィリピンの狙いは?
裏にはあの国が?
中国は南シナ海に独自に「九段線」を引き、
領有権を主張してきました。
<仲裁裁判所で無効と採決された九段線>
地図を見ても明らかなように、舌のように南に伸びた領域は、
周辺諸国が領有権を主張する海域と干渉しています。
周辺国の一つフィリピンが、領有権争いを解決するために、
仲裁裁判所に訴え、2016年7月12日に下った裁決は、
九段線は国連海洋法条約(UNCLOS)違反であり、無効とするものでした。
これに対して中国は猛烈に反発し、
「裁定は無効であり、拘束力を持たず、中国は受け入れず、認めないことを厳粛に声明する」
「南海における中国の領土主権と海洋権益はいかなる状況下でも裁定の影響を受けず、中国は裁定に基づくいかなる主張と行動にも反対し、受け入れないものである」
と宣言し、さらに今年4月18日には南シナ海に行政区を設置し、
領有権主張をますます強めてきました。
中国は南シナ海に南沙区、西沙区設置し実効支配強める。日本は黙って見てるだけ? - 黄大仙の blog
仲裁裁判所には裁決に対する強制権がなく、
当時国が裁決を守らなくても何もできません。
裁決で勝訴しているフィリピンも、
投資や経済的援助を受けるために親中政策をとっていたため、
抗議活動もあまり力の入ったものではありませんでした。
昨年8月にフィリピン・ドゥテルテ大統領が中国に訪問し、
習近平主席と会談した時も、南シナ海は話題にならなかったそうです。
ドゥテルテ大統領は習近平首席から「譲らない」と言われたので、
話題にできなかったと言い訳を言い始めていますが、
裁決から4年も経った今になって、
何故国際仲裁裁判所の採決を遵守するように求め始めたのでしょうか?
ここで気になるのがアメリカの動きです。
航行の自由作戦は今年に入ってからも活発に実施されており、
航行の自由作戦台湾海峡を航行 グァムからは戦略爆撃機も - 黄大仙の blog
7月には空母3隻が南シナ海近海に展開し、
内2隻が合同訓練を行いました。
米軍空母2隻が南シナ海で合同軍事演習 中国艦隊と対峙 南シナ海で一触即発か?
ここに来てフィリピンに裁定遵守を要求させたということは、
アメリカが武力解決するために、
「当事国から支援を求められた」
という大義名分を得るためだというのは考え過ぎでしょうか?
以下は、アメリカ政府が運営する国営放送局Voice of Americaの中国語放送「美国之音」がフィリピンの動向を伝えた記事です。
中国内ではフィリピンの動きを伝える記事はありませんでした。
+++美国之音+++
[原題] <美国之音>南中國海仲裁案4週年 菲律賓再促中國遵守裁決
[邦訳]<美国之音>南シナ海仲裁案件4周年 フィリピンは再び中国に採決の遵守を催促
フィリピンは日曜日(7月12日)に、4年前に国連ハーグ国際仲裁裁判所が南シナ海の歴史的権利などに関して下した判決について、中国が遵守するように再び求めた。この判決は、歴史的根拠に基づく南シナ海の大部分に対する中国の主権主張は違法であり、無効であるとした。
フィリピン外相テオドロ・ロクシンは7月12日の南シナ海採決4周年に際し、フィリピンがこれまで中国に対して行った最も強い声明を発表した。声明では、「この採決は交渉の余地はない」と述べた。彼は、国際仲裁法廷の権威ある裁定は、南シナ海の資源に対する中国の歴史的権利の主張は法律的根拠がないと述べた。
フィリピンは2013年に国連常設国際仲裁裁判所に中国を起訴した。国際的な注目を集めている南シナ海仲裁案は2016年7月12日に最終的に決裁された。中国の「九段線」の主張が違法で無効であるという裁定に加え、中国がフィリピンの排他的経済水域や大陸棚の主権を侵害していることや、満潮時に水上にあるスプラトリー諸島(中国名南沙諸島)のすべての島嶼は、排他的経済水域、あるいは大陸棚の「岩礁」を生産することが法的に不可能であることなどを盛り込んだ。
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中国は予想以上の敗北を喫し、中国は仲裁の結果を受け入れないことを繰り返し強調したが、国際社会は総じて裁定の権威を尊重した。
中国は近年南シナ海を埋め立て、軍事施設を建設し、近年、中国は南シナ海の土地を開拓し、軍事施設を建設し、天然ガス探査を行っている疑いのある探査船を派遣し、ベトナム、フィリピン、マレーシアの中国に対する強い反発と、南シナ海の部分主権を主張するこれらの国からの抗議が繰り返されている。
フィリピン外相テオドロ・ロクシンは、国際仲裁裁判所は、フィリピンの排他的経済水域内の特定の行動は、フィリピンの主権を侵害しており、違法であると裁定した。彼はさらに、中国が環境に深刻な損害を与えた大規模な埋め立てを含む、仲裁裁判に違反した行動を列挙した。
フィリピンが中国を起訴したことは、国際裁判所が中国に不利な判決を下すことを促したが、フィリピン大統領ドゥテルテはずっと、中国にハーグ国際仲裁裁判所の2016年の採決を遵守する様に求めなかったことで、民族主義者と左翼団体から非難されてきた。ドゥテルテは貿易、投資、援助を受けるため親中政策をとっており、彼は常にフィリピンの伝統的な同盟国であるアメリカの安全政策を批判してきた。
ドゥテルテ大統領は昨年8月末に5度目の中国訪問時に、中国国家主席習近平と会談した。その後ドゥテルテ大統領は、南シナ海紛争でのフィリピンの仲裁勝利に中国に応じるよう要求する方法がなかったことを認めた。ドゥテルテ大統領は、習近平が端的に「我々は譲らない」と言ったと述べた。
<美国之音>南中國海仲裁案4週年 菲律賓再促中國遵守裁決
+++美国之音+++