米商務省がTikTokを禁止する命令を施行しようとし、連邦地方裁判所が命令の差し止めを決定したのが10月30日でした。これを受けて2日後の11月1日に米商務省は、TikTok禁止令は断固として擁護すると表明し、禁止令施行への決意を表しました。
TikTokの禁止を巡っては、禁止したい米国政府と、利用を続けたいTikTokerとの法廷での争いは、二転三転してとてもわかりにくくなっています。
そもそもの発端は7月31日にトランプ大統領がTikTok禁止を宣言したことから始まりました。
この時はTikTokを米企業が買収する交渉を進めていることに、トランプ大統領が反対したのですが、8月2日には期限つきで買収交渉が再開しました。
その後米商務省は9月20日からTikTokとWeChatの米国内でのダウンロードを禁止すると命令を出しました。
この命令に反発したTikTokの親会社バイトダンスと、米国内の3名のTikTokerはそれぞれ禁止令の差し止めを求める請求を連邦地方裁判所に提出しました。
9月27日には、ワシントンD.C.の連邦地方裁判所が、米商務省の禁止令の差し止める仮処分命令を出し、10月30日には、ペンシルベニア州連邦地方裁判所が、米商務省のTikTok禁止命令を差し止めました。
この2つの連邦地裁の差し止め命令を受けて、米商務省が11月1日に出した声明が、「(裁判官の)差し止め命令を遵守するが、(中略)商務省の禁止令執行努力を断固として擁護します」というものでした。
地裁の差し止め命令が有効なうちは、商務省の禁止令は発行しませんから、なんとも往生際の悪い商務省の悪足掻きにしか見えません。
商務省には何か奇策でもあるのでしょうか?
ワシントンD.C.の連邦地方裁判所は、11月4日に商務省の禁止措置について公聴会を開催しますので、そこで商務省から何か資料が示されるのかもしれません。
TikTokがスマホの個人情報を、利用者に無断で収集して中国のサーバーに送っていたことは、TikTok自身が認めていますし、集団訴訟にもなっています。
中国のサーバーにあるデータは、中国の法律のもとに置かれます。中国の国家情報法や国防動員法に基づいて、情報の提供を要求されれば、中国人及び中国企業は情報を中国政府に提出しなくてはいけません。
アメリカのことはともかく、マイナンバーカードも普及しないほど個人情報を大事にする国の国民が、どうして問題視しないのか不思議です。
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参考資料
<多維新聞>美国商务部无视法官裁决 发誓积极捍卫TikTok禁令
http*://bit.ly/34OnqkM