中国国務院台湾事務弁公室の元高官が、武力行使がなければ台湾統一という目標を達成するのは難しい、と脅す記事を人民政協報に掲載しました。元高官は推奨するコストを抑えた武力侵攻である「北平モデル」とは?
王在希氏は中国国務院台湾事務弁公室の元副室長で、2016年には「台湾独立を制止できる勢力はもはや台湾にはなく、それができるのは大陸だけ」、「反国家分裂法が想定する、平和統一の可能性が完全に失われたときが近づいている。」と台湾の武力統一を訴えた。対台湾強便派で知られる人物です。
習近平総書記は2019年1月4日の新年の演説で、「祖国は再統一されなければならない、必ず再統一される 」と強調し、「武力行使も放棄しない」と台湾を脅しました。
王在希氏は習近平の演説を受けたかのように、11月7日に発表した文章の中で、「手段としての武力行使がなければ、政治交渉や市民交流、恒常的な譲歩に頼るだけでは、両岸統一という目標を達成するのは難しい」と述べています。
王在希氏は軍事的手段に頼る理由として、台湾の状況が根本的に変化し、平和的統一の可能性が薄れてきているからだとしています。
彼の見解では、台湾では台湾独立派が勢力を伸ばし、台湾独立を標榜する民進党が表舞台へ躍り出てフルパワーを発揮しており、党首である蔡英文総統は「台湾海峡を挟んだ一つの中国」とすら認識していないと指摘しています。
王在希氏は昨年12月の環球時報の年次大会で、翌月の台湾総統選挙に触れ、「国民党が勝てば両岸関係は緩和されるが、再統一には時間がかかる。 民進党が政権を維持すれば、両岸関係は緊張するだろうが、再統一のスピードを上げることは可能だ。」と述べて、武力行使をほのめかしました。
最近になって、中国人民日報が武力侵攻の警告記事を掲載したり、習近平が国民に非常用備蓄を促して、武力侵攻が近いのかと思わせました。
それでは、北京政府が考える武力侵攻と、王在希氏が提唱する武力侵攻は同じなのでしょうか?
王在希氏は台湾統一に向けた「第3の道」を提唱しています。これは「北平モデル」とも呼ばれている武力統一の方法です。
「北平」とは北京が都でない時の呼び名です。明の永楽帝が首都を置く前の北京は北平と呼ばれており、清滅亡後に国民党政府が南京を首都としてから、共産党政府が首都を置くまでの間も北京は北平と呼ばれていました。
1949年1月の北平を支配していたのは国民党軍でしたが、圧倒的兵力で迫ってきた共産党人民解放軍を前に、和平解放の条件を受け入れて無血開城した故事に因んだものが「北平モデル」です。
端的に言えば「北平モデル」とは、「圧倒的武力を持って平和を迫り、統一を促し、戦うことなく兵士を降伏させる。これにより、犠牲者を最小限に抑え、コストを削減する武力統一モデル」と言えます。
中国人民解放軍は空母建造や、台湾海峡の弾道ミサイル増強など、台湾武力侵攻に向けて軍備拡張を進めています。
トランプ政権は台湾への武器売却を決めましたが、バイデン氏が新大統領に就任したら、その約束は反故にされるかもしれません。
そうなったときには、中国共産党政府は圧倒的な武力を背景に、台湾に統一を迫るのでしょう。
バイデン政権が台湾を支援すれば、共産党も無茶はしないでしょう。しかし習近平総書記はバイデン氏を買収済との疑惑もありますので、どうなるのか心配です。
逆の見方をすれば、習近平にとってバイデン政権の誕生は、台湾を併合して太平洋に進出する絶好のチャンス到来とも言えます。
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参考資料 *>s
<rfi>中国国台办前副主任王在希 不动用武力两岸恐难实现统一
http*://bit.ly/3pdEQz4
国台办原副主任王在希:和平统一可能性正在减小
http*://bit.ly/3p968qu
北平模式王在希:请收下我的膝盖。
http*://bit.ly/32rfSmh