ファーウェイの孟晩舟がカナダで逮捕されてから、まもなく2年が過ぎようとしています。中国共産党政府からは報復的な処置を取られながらも、トルドー首相は毅然とした態度を変えていません。野党議員も対中国共産党の動きを強めています。
ドイツ国営の国際メディア徳国之声の報道によると、19日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)のビデオ会議で、孟晩舟の逮捕について質問されたカナダ・トルドー首相は、孟晩舟を逮捕するという決定を後悔していないと語りました。
トルドー首相は、カナダは何年にもわたって同盟国との間で引き渡し条約を結んでおり、都合の良い時や簡単な時にだけ選択的に法律を施行しているのでは無いと述べています。
カナダがトランジットでカナダの空港に到着した孟晩舟を逮捕したのは、アメリカからの要請に答えたもので、アメリカは金融詐欺の疑いで孟晩舟を指名手配していました。
孟晩舟の事件は逮捕以来裁判係争中で、孟晩舟の弁護士は、カナダ国境サービス庁(CBSA)の孟晩舟に対する逮捕プロセスが違法であったと主張し、立証しようとしています。
カナダの国境関係者は当時、孟晩舟は国境検査に連絡せずに出国するための人脈や資源を持っている可能性もあると判断し、孟晩舟を飛行機に乗せるのはリスクがあると考えたと裁判所に話しています。
日本では保釈中のカルロス・ゴーン被告が、国境検査を通らずに日本を脱出した事件が昨年ありましたが、孟晩舟もカナダの国境検査を通らずに国外に脱出する可能性があると、カナダの国境関係者は考えたわけです。
中国は孟晩舟の逮捕直後に、報復処置として2人の在中カナダ人を逮捕しています。
中国の圧力に対して、カナダ国内から「孟晩舟を釈放すべき」との声も出ました。
これに対してトルドー首相は、「中国であれ他の国であれ(カナダ)政府に政治的圧力をかけて思い通りのことをさせるには、少数のカナダ人を無作為に拘束しさえすればいいと中国に示すことになる。」「国外に居住したり、旅行したりする何百万人ものカナダ国民を危険にさらすことになる」と孟晩舟釈放を拒否しました。
トルドー首相の毅然とした態度には喝采を送りたくなりますが、これでも中国に対する態度が甘すぎると批判する人がカナダ議会にいます。
カナダ保守党党首エリン・オウトゥールがその人で、もし彼がカナダ首相になるなら、彼は中国に対する厳しい姿勢を強化することになるとしています。
オウトゥール氏は「私は貿易の機会のためだけに、我々の安全や盟友を犠牲にするつもりはない」と言い切っています。
オウトゥール党首率いるカナダ保守党は、世論調査ではトルドー率いる自由党にわずかに差をつけられているものの、もし今総選挙が行われた場合には、自由党を倒すことに成功する可能性もあると評されています。
オウトゥール党首は、米国が新疆ウイグル自治区での強制労働を伴う製品の禁止を発表したことに触れ、オトゥール党首が首相に選ばれたら同様のことを検討すると述べています。
また、カナダ議会は、中国共産党による対カナダ干渉をはねのける政策を求める保守党の動議を可決し、反中国の動きを強めています。
動議には、ファーウェイの次世代通信規格5Gのネットワーク構築を禁止するか、30日以内に決定するよう政府に求める内容も含まれています。
トルドー政権は5Gネットワークのファーウェイ使用可否についての決定を先延ばししていますが、与野党議員からはファーウェイの導入は国の安全保障に危険をもたらすとして、より明確な禁止を決定するよう求める声が強まっています。
2018年12月のファーウェイ孟晩舟の逮捕以後、悪化の一途をたどる中国ーカナダ両国関係ですが、溝はどんどん深まっていくようです。
日本は、中国経済との繋がりを得るために、人権侵害、知的財産権の窃盗、貿易慣行問題を数十年来無視していますが、中国からも『経済では中国に擦り寄り、防衛では米国に擦り寄っている』という批判も出始めており、いい加減に態度をはっきりさせないと、世界から軽蔑される国になってしまいます。
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参考資料 *>s
<徳国之声>孟晚舟案件胶着 特鲁多称不后悔当初决定
http*://bit.ly/2UIWvRp