中国共産党習近平総書記は新年茶会で台湾に関して、「一つの中国」原則と92コンセンサスを堅持し、台湾海峡の平和と安定を断固として維持すべきだと強調しました。
中国共産党習近平総書記は12月31日に開かれた、中国人民政治協商会議全国委員会(CPPCC)の新年茶会で、台湾に関する「一つの中国」原則と92コンセンサスを堅持し、台湾海峡の平和と安定を断固として維持すべきだと強調しましたが、「反台湾独立」については言及しませんでした。
しかし、31日夜に国営放送などを通じて配信された、国民に向けた2021年新年メッセージでは、感染拡大抑えて経済発展した成果を強調し、台湾については全く言及しませんでした。
台湾の陸軍委員会の報道官である邱垂正氏は、両岸関係を展望し、台湾は両岸の状況の変化に注意を払い、台湾海峡の平和を維持するために最善を尽くしていくと述べています。
邱垂正氏は、「中国本土は最近、観光客や学生の台湾への来訪を遮断し、国家安全保障を口実に台湾人を恣意的に逮捕し、外交・軍事分野で台湾を弾圧、潜入、分断し続けている」と指摘しました。
中国共産党はここ数年来、台湾統一の野心を隠さなくなっていましたが、今年7月の国家安全維持法施行で香港を制圧してからは、台湾武力侵攻に向けた動きも隠さなくなってきていました。
『一つの中国の原則』と『92コンセンサス』という言葉がキーワードで出てきています。
『92コンセンサス』とは中華人民共和国と中華民国の当局間で「一つの中国の原則」問題に関して達成した合意で、1992年に香港で協議を行ったため『92コンセンサス』と通称されます。
『一つの中国の原則』は共産党と国民党が『92コンセンサス』で合意した内容なのですが、共産党の主張は「一つの中国=中華人民共和国」であるのに対し、国民党は「一つの中国=中華民国」であるところが微妙に意味が異なります。
『92コンセンサス』は1992年当時もそれ以後も公表されたことがなく、台湾ではその存在の真偽が議論の対象となっており、国民党は存在するとの立場であり、民進党は存在しないという公式見解を出しています。
蔡英文民進党は『一つの中国』との立場ではなく、『中国と台湾は別』の立場を貫いていますから当然です。
中国共産党にとっては『92コンセンサス』は存在するという立場ですので、習近平総書記が新年茶会で92コンセンサスの堅持を主張するのは当然です。
しかしながら、『92コンセンサス』が有ろうと無かろうと、「台湾は中国の不可分の一部、台湾は中国の核心的利益」との主張は変わらないでしょう。
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<自由亜州電台>习近平重申九二共识 台湾:尽最大努力维护和平