5歳で中国共産党に連れ去られたパンチェン・ラマ11世は、失踪したまま4月25日に32歳の誕生日を迎えました。 米国国際宗教自由委員会(USCIRF)は、中国共産党に対し、改めて彼の居場所を公開するよう求めるとともに、当局によるチベットへの迫害を非難しています。
アメリカに拠点を置く中国語メディアの希望之声の記事より。
ダライ・ラマ14世からパンチェン・ラマ11世に指定されたゲンドゥン・チューキ・ニマさんは、5歳の時に中国共産党に拉致され、いまだに失踪しています。
USCIRFのナディーン・マエンザ委員は、「当時わずか6歳だったゲンドゥン・チューキ・ニマさんが中国共産党に強制的に拉致され失踪してから、約27年が経過しました。 ゲンドゥンは今年4月25日に32歳になりましたが、いまだに行方も健康状態も不明のままです。 USCIRFは、中国政府に対し、彼を直ちに無条件で釈放するよう、改めて要請します。」との声明を発表しました。
1989年にパンチェン・ラマ10世が亡くなり、亡命中のチベットの最高精神指導者であるダライ・ラマ14世が、1994年5月14日に5歳のゲンドゥン・チューキ・ニマ(1989年生まれ)をパンチェン・ラマの生まれ変わりと宣言しました。
しかしその3日後に、ゲンドゥン・チューキ・ニマとその家族は中国共産党当局に連れ去られ、それ以来、公に姿を見せていません。
その後、中国共産党当局は、パンチェン・ラマ10世の後継者となる少年を勝手に任命しました。
USCIRFの委員である人権弁護士のヌリー・ターケル氏は、「中国共産党によるチベット人への迫害の不条理さと残酷さは、国際社会に警鐘を鳴らすべきであり、国際社会は一致団結してパンチェン・ラマの釈放を求めるべきである 」と非難しています。
米国務省のネッド・プライス報道官は、22日の定例記者会見で、「我々は中国政府に対し、チベット人が尊敬するパンチェン・ラマの所在を直ちに発表し、我々が彼と個人的に会うこの機会を与えることを求める。 」と述べています。
中国外交部の趙立堅報道官は昨年2020年5月19日、ゲンドゥン・チューキ・ニマは大学を卒業して安定した仕事に就いてと述べています。
しかし、ダライ・ラマ亡命政府の北米代表事務所の元華人事務責任者であるクンガ・タシ氏は、これは中国共産党の言い訳だと指摘し、「ゲンドゥンは一体どこにいるのか? 彼が通っていた学校は? 彼はどのような立場で働いているのでしょうか? 中国政府は何も答えていません。」と述べています。
USCIRFは4月21日に、2020年の世界の宗教的自由の状況を評価した年次報告書を発表し、宗教の自由に対する組織的、継続的に深刻な侵害を行っている国として、再び中国を挙げました。
報告書では、中国がチベットを支配・抑圧し続けていることを挙げ、中国共産党が信教の自由を迫害し続けるのであれば、2022年に北京で開催される冬季オリンピックに役員を派遣しないよう、米国政府に要請しています。
中国のチベット・ウイグル・南モンゴルでの人権侵害は、国際社会で問題にされていますが、チベット仏教など宗教に対しても、2018年2月1日には「改正版宗教事務条例」(2017年8月26日公布)が施行され、宗教活動に対する弾圧が進んでいます。
日本のマスコミは最近ようやく、中国のウイグル人迫害を報じ始めましたが、中国の宗教迫害にも注目して欲しいです。
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参考記事
<希望之声>5岁即被绑架 美国再次呼吁中共释放班禅
http*://bit.ly/3nll5oJ
<SPF Chins Observer>習近平政権が進める「宗教の中国化」とは
https*//bit.ly/3nmUDeo
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