米海軍の駆逐艦USSミリウスが16日に台湾海峡を通過し、中国軍は翌日、米軍が自らの存在感を「公然と誇張した」と非難して抗議しました。しかし、ちょうど1週間前に、フランス海軍のフリゲート艦プレリアルが台湾海峡を通過した際には、中国軍が大規模な演習中であったのにも関わらず、中国側から非難の声は出ませんでした。
ドイツ国営の国際放送事業体である徳国之声の記事より。
米海軍第7艦隊は、駆逐艦USSミリウスが16日に台湾海峡を通過したのは「日常的な航海」であり、「いかなる国の領海にも関わらない」航路を使用したと発表しました。
また、米艦が台湾海峡を通過したのは、その1週間前の8~10日に中国軍が台湾周辺で大規模な軍事演習を行って以後初めてのことでした。
中国の大規模な軍事演習は、カリフォルニア州でマッカーシー米下院議長との会談する蔡英文・台湾総統への「重大な警告」だとみなされています。
駆逐艦USSミリウスの台湾海峡通過を受け、中国東部戦区の施毅報道官は、米国を自らの存在感を「公然と誇張した」と非難しました。
中国軍の東部戦区は、「米艦の航行中、部隊を組織して追跡・監視していた。戦区の部隊は常に厳戒態勢にあり、国家の主権と安全、地域の平和と安定を断固として守っている。」と17日の声明で述べています。
しかし、その1週間前の4月9日、フランス海軍のフリゲート艦プレリアルが、中国による台湾周辺の軍事演習中に台湾海峡を横断しましたが、中国からの反応は有りませんでした。
このニュースは、マクロン仏大統領が訪中後にオランダ首相と会談した際に明らかにしたものです。
台湾国防部の顔有賢情室次長も4月12日、このニュースを部分的に確認し、台湾の軍隊はずっと動向を把握していたと強調しました。
台湾のメディア「華視新聞」は、「フランス・フリゲート艦プレリアルは台湾海峡の中央線の西側を航行しており、周辺には航行を監視する中国共産党の軍艦がいなかった」とまで報じていました。
しかし、台湾の治安当局の情報筋によると、プレリアルは澎湖周辺海域で中国海軍の駆逐艦杭州と他のフリゲート艦2隻に監視されており、一時は台湾海峡の中央線より東に旋回して身を隠していたとのことです。
マクロン大統領は、訪中から欧州に戻る途中、メディアの取材に応じ、「台湾海峡をめぐる米中間の対立に欧州が巻き込まれることは避けるべきだ。欧州は戦略的に自律しているべきで、米国に従属するべきではない」と強調し、 この発言は、世界の世論に大きな物議を醸しました。
その後、オランダの首相との会談で、台湾に対するフランスの立場はヨーロッパの立場と一致しており、「方針は一貫しており、変わっていない」と弁明していました。
また、マクロン大統領は、中国による台湾周辺の軍事演習中にフランスの軍艦が台湾海峡を通過したことについて、「フランスがこの地域に積極的に関与していることを示す」と述べています。
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マクロン大統領の発言は欧米でひんしゅくを買ってしまいましたが、台湾海峡を相次いで航行した米仏の感染に対して、中国が異なる対応を見せたことで、『やっぱり、フランスと中国には密約があるんじゃないのか?』と疑心暗鬼を生じさせる意図があると見るのは考えすぎでしょうか。
参考記事
<徳国之声>美舰法舰分别通过台海 中方反应区别明显