中国の習近平国家主席は、インドで開催される20カ国・地域(G20)首脳会議に出席しないことを決め、代わりに李強首相が出席することになりました。習近平は2012年の政権発足以来、一度もG20サミットを欠席したことがないため、海外メディアは欠席の意味を解釈するのに躍起になっていますが、中国政府は習近平の欠席について何も説明していません。米メディアは習近平の政治的イメージの失墜を「遺憾かつ滑稽」と表現しています。
米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。
米メディアの報道によると、ジョー・バイデン米大統領は、習近平国家主席がG20サミットを欠席することに失望を表明しましたが、将来的には会談するつもりだと述べました。
G20のメンバーであるドイツも遺憾の意を表明しましたが、ドイツ政府報道官は、中国政府はハイレベルの代表団をG20に派遣するので、協議はまだ可能だと述べました。
専門家は、習近平のG20サミット欠席は、中国とインドの関係をさらに悪化させると見ています。
インドの外交アナリスト、シャシャンク・マトゥー氏も、習近平のG20欠席は、中国がインドの友人ではないことを裏付けるだけだと指摘します。
シンガポールを拠点とする地政学アナリストのゴクル・サーニは、「まだ判断するのは早いが、中長期的にG20が2つの陣営に分かれるとすれば、インドはBRICS+よりもG7を支持する可能性が高い」と述べています。
インドのコラムニストで、現在は台湾外交部の研究員であるアーディル・ブラールは、「習近平はG20のマイクをモディに渡している。しかし、ロシアと中国抜きでは、サミットは二番煎じのショーになってしまった。」と述べています。
しかし、一部のインド人アナリストは、習近平の欠席は中国にとって損失であるが、サミットにとってはむしろ好都合だと考えているようです。
中国の公式メディアは、過去10年間、習近平を今日の人類運命共同体の賢明な指導者として宣伝し続けてきました。
しかし、中国政府が習近平の欠席について説明しないという決定を下すと、ブルームバーグは「習近平のG20説明なし欠席は、グローバル・ステーツマンとしての彼のイメージを損なう」と題する記事を掲載し、ニューヨーク・タイムズは「中国指導者のG20欠席は、インドを足元から揺るがす」という見出しの記事を掲載しました。
フランスの週刊誌『Le Moniteur』は、「習近平のG20欠席は、ウクライナ戦争により国際的なパワーバランスが再定義される中で、重大な意味を持つ」との記事を掲載しました。
『Le Moniteur』は、「プーチンの欠席は国際刑事裁判所から逮捕状が出されたために予想されていたことだが、習近平の欠席は予想されておらず、そのため習近平は多くの主要政府を疑惑の深淵に陥れた」と述べています。
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習近平国家主席のG20欠席は、世界中で様々な憶測を生んでいるようです。
対ロシア制裁を蔑ろにされないよう釘を刺したかった西側諸国は、肩透かしを食ったようなものですし、経済援助をおねだりしたかった諸国にとっては当てが外れた思いでしょう。
風の噂によれば、欠席した習近平の代わりに『空の椅子』を会議の場に置いておくのではないかと言われています。
『空の椅子」は、中国初のノーベル平和賞受賞者である劉暁波が、中国政府からの妨害により2010年の授賞式に出席できなかったため、主催者側が空席の椅子を用意したことに由来するのは、みなさん周知のことだと思います。
受賞した劉暁波の不在を象徴する、座る人のいない椅子が壇上に置かれた
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参考記事
<世界新聞網>习将缺席G20 北京「不解释」 :恐损历年塑造的政治形象