米国国務省、中国を含む6カ国でのジェノサイドや残虐行為を批判する報告書を発表

米国務省は7月12日、ジェノサイドや残虐行為の防止に関する年次報告書を発表しました。報告書は中国など6カ国でジェノサイドや残虐行為を直接かつ詳細に記述しました。また米国政府が中国による新疆ウイグル自治区での人権侵害を米政府が「ジェノサイド」であると認定したことを明記しました。

　　米国政府が運営する国際メディアの美国之音の記事より。

f:id:deepredrose:20210714180419j:plain — ブリンケン国務長官

　　ブリンケン米国務長官は7月12日、ジェノサイドや残虐行為の防止に関する年次報告書を発表し、中国、ミャンマー、エチオピア、イラク、シリア、南スーダンの6カ国を現在進行中のジェノサイドや残虐行為に対して名指しで非難しました。

　　ブリンケン国務長官は記者会見で、「今年は初めて、中国、ミャンマー、エチオピア、シリアなどの特定の国で発生した残虐行為を直接詳述しています。米政府は、外交や対外援助など全ての手段を使って、世界各地の残虐行為の防止と低減に向けて政府全体で取り組んでいく」と強調しました。

　　年次報告書では、中国が新疆ウイグル自治区で引き続き、ウイグル人など少数民族に対してジェノサイドを実施し、人道に対する罪を犯していると指摘しています。

　　人道に対する罪の具体例としては「投獄、拷問、強制不妊手術、迫害」などを列挙しています。

　　中国が新疆ウイグル自治区のウイグル人に対するジェノサイドを、今年1月にポンペオ前国務長官が最初に認定し、ブリンケン国務長官もそれを継承しています。

　　米国務省は、イスラム教徒など少数派の拘束や虐待に責任があるとされる中国政府関係者のビザを引き続き制限しています。

　　米国、EU、英国、カナダは、人権侵害に関与した中国政府関係者に制裁を科し、新疆での人権侵害を理由に、数十社の中国企業が米国のエンティティリストに記載され輸出規制の対象となっています。

f:id:deepredrose:20210714181032j:plain — 米国国務省

　　「集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約」いわゆるジェノサイド条約は、各国にジェノサイド行為の防止と処罰を求めています。

　　中国は米国をはじめとする150カ国と一緒にジェノサイド条約を批准しています。

　　ジェノサイド条約とは、「特定の国や民族、人種、宗教集団の構成員に対し、(1)殺害する(2)肉体的、精神的危害を加える(3)過重労働など肉体的破壊をもたらす生活を強いる(4)出生を妨げる(5)子を集団から引き離す―ことを「ジェノサイド」と定義し、締約国には被害防止や加害者処罰の義務が課せられます。

　　ジェノサイド条約には、中国や北朝鮮を含む152カ国・地域が批准していますが、日本は批准していません。

　　ジェノサイド条約ではジェノサイドそのものだけでなく、その共謀、扇動も処罰対象となっていますが、日本にはこれらを罰する法律がなく、批准するためには関連する国内の法律の整備が必要になります。

　　現代の日本社会でジェノサイドが起こることは想定しづらいとして、法整備の必要性は乏しいと考えられてきたため、ジェノサイド条約の批准に至っていないのが現実です。

　　決して日本人がジェノサイドを容認しているわけでは無いので、ごかなきようお願いします。

　　そうは言っても、国会では「ジェノサイド非難決議案」が与党の反対で否決されたり、ユニクロ、無印良品、アシックスのように強制労働で作られた新疆綿を使ったり、環境省は強制労働で作られているソーラーパネルの普及を促進したりと、誰がどこから見てもジェノサイドを容認しているじゃないかと疑われることばかりしています。

　　せめて我々一般国民だけでも、ジェノサイドに反対し、中国共産党を非難する気持ちは持っていたいです。