バイデン大統領は8月5日、米国に住む香港人に一時的な「安全な避難所」政策を提供し、数千人の香港人が米国での滞在を延長しながら働くことを認める覚書に署名しました。中国政府が香港の民主主義を弾圧していることを受けた処置です。
米国に拠点を置く中国語メディアの希望之声の記事より。
ホワイトハウスのサキ報道官は同日発表した声明の中で、バイデン大統領の行動は、中国政府による継続的な香港への弾圧に直面する香港の人々への強い支持を示すものであると述べています。
今回のバイデン大統領による覚書の署名により、ビザの期限切れなどにより、強制的に退去させられる香港人に、最長18ヶ月間の「退去の猶予」を与え、この期間中に米国に滞在する香港人は雇用が認められます。
バイデン大統領は覚書の中で、以下のように述べています。
「この1年間、中国共産党は、香港の自治を攻撃し、民主的プロセスや制度を弱体化させ、学問の自由に制限を加え、報道の自由を取り締まることを続けてきました。」
「米国は、香港の人々への支援に揺るぎはありません。 そして、自由を否定された香港の住民に安全な避難所を提供することで、この地域における米国の利益を促進することにもなります。」
サキ報道官は声明の中で、今回の動きは米国が「香港の人々を強く支持し、中国共産党が香港と国際社会に対する約束を反故にすれば、米国は黙っていない」ことを示していると述べています。
米国政府高官によると、現在米国に滞在している香港人の大部分は、このプログラムを受ける資格があると考えられるとしています。
この覚書では、昨年6月30日に香港版国家安全法が施行されて以来、香港警察が政治的動機による逮捕を続けており、国家安全法に基づいて100人以上の野党政治家、活動家、デモ参加者を分離独立、外国や海外の勢力との共謀などの罪で拘束していることを指摘しています。
また覚書は、中国政府が1年間にわたって香港の自治権を侵害し続け、残された民主的なプロセスや制度を弱体化させ、学問の自由に制限を加え、報道の自由を抑圧していると非難しています。
米国では、香港人救済の動きが活発化しており、米国連邦議員はすでに、中国共産党への抗議活動に参加したことを理由に迫害を受ける恐れのある香港出身者が、米国で難民資格を取得しやすくするための法案を求めています。
ブリンケン国務長官は、中国共産党による弾圧から逃れる人々を、米国が受け入れるべきだと述べています。
さらに米国政府は、香港やウイグルの人権迫害に関係したとして、中国共産党幹部への制裁も強めており、7月には米国財務省などは、香港連絡事務所に勤務する7人の共産党幹部を制裁リストに掲載しました。
現在では香港の有力者の多くが制裁対象となっており、共産党幹部が米国の金融システム上のあらゆる資産にアクセスできなくなっています。
欧米諸国では迫害されている人たちの救済や、中国政府への制裁の動きが活発なのに対し、日本の政財界はむしろ中国政府に擦り寄り、人権迫害を見て見ぬ振りしていることが残念です。
[あわせて読みたい記事]
参考記事
<希望之声>美国政府为港人提供“临时避风港”政策
http*://bit.ly/3fDGjM0
<美國之音>拜登签署备忘录 对部分港人提供“延期强制离境”庇护
http*://bit.ly/3ywsgPW