中国の「改正版海上交通安全法」が9月1日に施行され、原子力船を含む5種類の外国船舶が領海に入る際に中国への報告が義務付けられました。 米国防総省は、米国はその立場を堅持し、国際法で認められている海と空の自由な航行を続けるとしています。
米国に拠点を置く、世界中の華人向けメディアの世界新聞網の記事より。
中国共産党常務委員会は4月に、「海上交通安全法」の改正案を可決し、9月1日に施行しました。
改正版海上交通安全法は、潜水艇や原子力船など5種類の外国船舶が中国の『領海』を通過する前に、中国側に船名、コールサイン、現在地、目的地、積荷などを報告することを義務付けています。
また、改正版海上交通安全法は、大量の石油や化学物質、液化ガスなどの有害物質を運ぶ船舶にも報告を要求している。
8月27日に中国海事局が発表したニュースリリースで、軍艦を含む違法船舶を中国の規定に基づいて規制することが、初めて明らかにされました。
中国の言う『領海』には、中国本土の沿岸水域だけでなく、中国が主権を主張する、尖閣諸島を含む東シナ海、南シナ海の島や岩礁、さらには台湾周辺の12海里も含まれます。
中国では2月1日に施行された海警法で、沿岸警備隊に当たる海警局に武器の使用を認めており、改正版海上交通安全法は中国政府が紛争海域の主権をさらに主張しようとしていると見られています。
米国防総省のジョン·サプル報道官は、「米国は、国の沿岸規制は国際法に基づき、すべての国の航行権や飛行権を侵害してはならないという確固たる立場を維持している」と述べています。
サプル報道官は、「中国による南シナ海を含む海洋権益に対する違法かつ広範な主張は、航行·上空飛行の自由、貿易の自由、合法的な商業活動、南シナ海およびその他の沿岸国の権利と利益を含む海洋の自由に対する深刻な脅威となっている。」と指摘しています。
中国や米国を始め多くの国が批准している「海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)」では、沿岸国と内陸国の船舶は、他国の領海を無害通航する権利を有しています。
無害通航とは、沿岸国の平和·秩序·安全を害さないことを条件として、沿岸国に対して事前通告をすることなく沿岸国の領海を外国船舶が通航することを指します。
海洋法においては、内陸国を含め全ての国の船舶は、他国の領海において無害通航権を有するものとされています。
米国は、事前通報義務を一方的に課すことは海洋法に反すると、繰り返し述べています。
中国の改正海上交通安全法がこの地域での米海軍の活動に影響を与えるかどうかについて、米国防総省のマーティン·マイナーズ報道官は、「米国は国際法が許す限り、飛行、航行、活動を続ける」と述べました。
国務省のネッド·プライス報道官は、9月1日の定例記者会見で、「米国は、規模の大小にかかわらず、すべての国が領海権に関する世界的に適用可能な一連のルールに従うべきだと固く信じている」と述べた。
プライス報道官はまた、「米国は同盟国とともに、中国の違法かつ過剰な海洋主張に、今後も対抗していく」と強調しました。
中国の改正海上交通安全法は、日本にも影響を及ぼします。
中国の領有を主張する南シナ海は、日本のライフラインで、日本向けの原油や天然ガスを積んだタンカーは全てここを通過しています。
事前通告すれば航行は可能ですが、それは中国の南シナ海領有を認めたことになります。
さらに、中国政府の胸先三寸で、航行停止や妨害も起きかねません。
日本のメディアの扱いが小さいのは何故なのでしょう?日本政府はどう対応するつもりなのか、ちっとも伝わってきません。
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参考記事
<世界新聞網>中国要求通过领海须通报 五角大厦坚持自由航行
http*://bit.ly/3yAhck5
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