9月5日早朝、日の出に合わせて行われた国旗掲揚式の後、中国天安門広場に、突然にブラックスワンが飛来しました。しばらくしても飛び立つそぶりも無く、警備員が秩序維持、野次馬の避難、関連部門への連絡を行いました。
中国国内メディア鳳凰網の記事より。
「ブラックスワン」「灰色のサイ」という金融用語を聞いたことのある人は多いことでしょう。
「ブラックスワン」とは、マーケットにおいて事前にほとんど予想できず、起きたときの衝撃が大きい事象のことを指します。
従来、全て白いと信じられていた白鳥ですが、17世紀にオーストラリアで「黒い白鳥」が発見され、鳥類学者の常識が大きく覆されました。
これにちなみ、 従来の知識や経験からは事前にはほとんど予想できず、起こりえないと思われていた事柄が現実に起こり、社会に多大な影響を与えることをブラックスワン呼びます。
具体例としては2008年のリーマンショック、2016年6月の英国EU離脱が挙げられ、2020年から続く新型コロナウイルスのパンデミックは、究極のブラックスワンと言えるでしょう。
「灰色のサイ」は、「グレイリノ」とカタカナ英語で言うこともありますが、マーケットにおいて高い確率で大きな問題を引き起こすと考えられるにも関わらず、軽視されてしまいがちな材料を指します。
草原に生息するサイは体が大きくて反応も遅く、普段はおとなしいのですが、一旦暴走し始めると誰も手を付けられなくなり、爆発的な破壊力を持つことから、比喩として用いられています。
たとえば、不動産バブルの崩壊や少子高齢化などは、直近ではそれほど問題視されていなくても、いずれ拡大して表潜在的リスクである「灰色のサイ」です。
中国共産党の習近平総書記は、「ブラックスワン」や「灰色のサイ」が突発的に発生することを防ぐように厳粛に求めており、人々は「ブラックスワン」「灰色のサイ」に敏感になっています。
9月5日早朝に、天安門広場での国旗掲揚式の後、ブラックスワンが本当に飛んできて、天安門広場に着地しました。
『幸運か?』『凶兆か?』ネットでは爆発的に話題になりました。
「 ブラックスワンはここに来た、灰色のサイはまだ遠くにいるのか?」
「ブラックスワンは天のひらめきの不吉なサインなのか?」
「恒大集団が地雷を破裂させて連鎖を引き起こすことの予兆だ!」
さて、現実のブラックスワンですが、大騒ぎの後捕獲され、北京市内の野生動物救援センターに送られました。
野生動物救援センターの専門家である史洋氏によれば、「若鳥が親に追い出されて、誤って天安門広場に入ったのでしょう。ブラックスワンは毎年、子供を家の外に追い出してから次の子を繁殖させるという習性があります」とのことでした。
野生動物保護センターに拾われたとはいえ、ブラックスワンは厳密には野生動物ではなく、飼育されている鳥です。
ブラックスワンは、南半球に生息していますが、その優雅で見栄えのする姿から、数年前に観賞用として多くの郊外の公園に導入されました。
このブラックスワンも近くの公園から飛んできたものと推測されています。
北京では、ブラックスワンは非常に快適に暮らしていますが、外来種として地元のガチョウやカモの生活空間をある程度圧迫していることも指摘されています。
天安門広場に飛来した実物のブラックスワンは、「ブラックスワン」ではなかったようです。
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参考記事
<鳳凰網>天安门广场升旗仪式后 飞落一只黑天鹅
http*://bit.ly/3kX9Fqx