英国議会は、中国政府による英議員への制裁に対抗するという理由で、鄭沢光駐英大使の英国会議事堂への入場を禁止しました。
これに対し、駐英中国大使館は、近視眼的で無謀かつ卑怯な行為であり、両国の国益を損なうものだと批判しました。
フランス政府設立の国際メディアのrfiの記事と中国国内メディア網易の記事より。
駐英中国大使である鄭沢光は、15日に英国会議事堂で開かれる親中派議員のレセプションに参加予定でした。
しかし、中国から制裁対象に指定された保守党議員から抗議の声が上がり、上下院議長は鄭沢光大使の入場を禁止し、レセプションは延期されました。
英議会の超党派親中国グループのリチャード・グラハム議員は、英国会議事堂でのレセプションに鄭沢光大使を招待していました。
英メディアがこのニュースを報じたところ、中国政府から制裁を受けている、新疆での人権侵害に懸念を抱く英議員が抗議の声をあげました。
抗議を受け、リンジー・ホイル下院議長とジョン・マクフォール上院議長は、鄭沢光大使の英国会議事堂への入場を禁止し、レセプションは延期になりました。
ホイル下院議長は、中国が英国議員に制裁を科している以上、中国大使が英国会議事堂内で人と会うことは不適切だと主張し、 立ち入り禁止は中国が制裁を解除するまでの一時的な措置との認識を示しました。
英国と中国との関係はこのところ、緊張が高まっています。
英国議員の中には、新疆ウイグル自治区の人権問題に関して、中国政府を鋭く批判する者も少なくありません。
中国政府は3月、英下院議員5人と上院議員2人に対し、中国、香港、マカオへの入国禁止と中国国内の資産凍結を決定しました。
これは、英国が新疆ウイグル自治区当局者らに、制裁を課したことへの報復制裁でした。
こうした経緯にもかかわらず、英議会の親中国グループは、テムズ川を臨む下院のテラスで開かれる夏季パーティーに、鄭沢光大使を招待しました。
中国から制裁を受けた議員たちは、「中国政府による制裁は議員を標的としただけでなく、議会への攻撃でもある」として、鄭沢光大使の招待に反対する書簡を、上下院議長宛てに送っていました。
鄭沢光大使の議会への立ち入り禁止措置について、議員たちからは、「前例のないもの」として歓迎し、以下のように述べています。
「集団虐殺をしている中国政権が、民主主義国家の議員から言論の自由を奪えると思っているなら、重大な結果を招くだろう」
「中国政権が英国議会の場で、自らをアピールする機会を得ることは絶対にない」
英議会の報道官は、英国議員への中国の制裁が解除されれば、鄭沢光大使の議会への立ち入り禁止も解除されるとしています。
一方、駐英中国大使館の報道官は、「特定の英議員が、自らの政治的利益のため、中英の協力関係を妨害している。そうした卑劣うな行動は、両国国民の望みに逆らうものであり、国民の利益を害するものだ」と非難しました。
また、中国国内メディアは、「英国は人権問題で中国を無差別に攻撃しており、それが中英関係の発展に障害をもたらしている。」と非難しています。
さらに中国国内メディアは、「英国議会の蛮行は、中英外交関係を断絶の方向に進めるつもりか」と述べています。
中国政府は、中国国内メディアに『断交』をチラつかせることで、英国を牽制するとともに、国内外の反応を見ているようです。
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参考記事
<rfi>英国议会禁足中国大使 北京批懦夫
http*://bit.ly/3AiWp6j
<网易> 英国议会禁止中国大使进入,想要断交吗?中方罕见用词强硬
http*://bit.ly/2XFYjzw