米国が支援するウィグル人の写真展が、16日からスイスで開催されました。 この写真展では、中国・新疆ウイグル自治区の収容所で行方不明になっている、あるいは収容されているとされる数十人の人々が展示されています。これに対して、中国常任代表部は「政治的なトリック」「魔女狩り」と呼んで非難しています。
米国国営メディアの美國之音と米政府系放送局の自由亜州電台の記事より。
9月16日から3日間、「失踪者の壁」と名付けられた写真展が、スイス・ジュネーブの国連ビルの外で開催されました。
国連人権理事会の開催に合わせて催された「失踪者の壁」写真展は、失踪や投獄されたウイグル人を取り上げ、強制不妊手術の疑惑について、収容所の生存者へのインタビューも展示されました。
「失踪者の壁」の開催に関わった、世界ウイグル会議代表のズムレタイ・アーキン(Zumretay Arkin)は、実の叔父が数年前に新疆ウイグル自治区当局に連行されて以来、音信不通となっています。
アーキン氏は、「私たちはベルリン、ブリュッセル、ジュネーブの米国外交団と協力し、 ブリュッセルやジュネーブのミッションで資金援助を受けています。」と述べています。
アーキン氏は、これが米国と共同で立ち上げたプロジェクトであることを明かし、「展示では、強制労働、ジェンダー・バイオレンス、強制避妊、収容所などのテーマに焦点を当てました。」と述べています。
人々の反応はとても良く、多くの通りすがりの人が足を止めて見てくれたとのことです。
この写真展は、年内にブリュッセルとベルリンでも展示される予定です。 今週初めには、ジュネーブの米国公館が外交レセプションでも展示しました。
ジュネーブの米国常設ミッションのスポークスマンは、「我々は人権を中国政策の中心に据えることを約束しており、新疆、チベット、香港など中国全土で中華人民共和国が犯していると見られる深刻な人権侵害を引き続き強調する」と述べています。
ジュネーブの中国代表部は、「米国政府は自国の利益を得るために、中国に関する誤った情報を広めようとしている」と述べました。
中国代表部は続けて、「米国が価値のない政治的ないたずらをするのではなく、良識ある大国となり、自国の人々の幸福と人権の促進に資源とエネルギーを注ぐよう助言する」と述べています。
国連人権理事会は年9回開かれますが、今年は中国と米国とのやりとりが激しさを増しています。
米国のトランプ前政権もバイデン現政権も、中国政府による新疆での抑圧的な措置がジェノサイドや人道に対する罪にあたると判断しています。
今開かれている人権理事会では、中国代表部の江端大使は、米国がインディアン(ネイティブ・アメリカン)に対して「ジェノサイド」と「組織的な人種差別」を行っていると反論しました。
これに対して、米国代表部のベンジャミン・モーリング臨時代理大使は、「過去の不道徳を直視して改善しようとする国と、現在、人道に対する罪を犯している国とは違います」と答えました。
国連人権高等弁務官のミシェル・バチェレ氏は、人権理事会の開会の挨拶で、新疆ウイグル自治区の問題を取り上げ、国連がウイグル人に対する深刻な人権侵害を調査するために、いまだに同市に立ち入ることができないことに失望を表明しました。
日本では、中国政府によるウイグル人人権迫害問題について、見て見ぬ振りをする人が多いのですが、国連人権理事会では中国非難が活発に行われています。
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参考記事
<美國之音>美国资助流亡维吾尔人在日内瓦联合国大楼外开办图片展
http*://bit.ly/3zkQlZv
<自由亜州電台>维吾尔"失踪者之墙"日内瓦开幕 北京为何发怒?
http*://bit.ly/2XIyBdL
<自由亜州電台>“失踪者之墙”:维吾尔图片展在日内瓦举行
http*://bit.ly/3hMZKD7