米国務省のプライス報道官は記者会見で、米国は「一つの中国」政策を依然として支持しているかとの質問に対し、「その通りだ。われわれの政策に変わりはない」と答えました。バイデン大統領は中国の軍事圧力に直面する台湾への強い支持を表明していますが、この政策については言及していませんでした。
アメリカに拠点を置き、中華人民共和国の政治ニュースを専門的に扱う多維新聞の報道によると、バイデン政権が「一つの中国政策」に言及するのが初めてであったこともあり、オバマ政権時代にあった「台湾放棄論」が復活し、トランプ前政権の米台蜜月時代にストップをかけているようにも見えるとしています。
「台湾放棄論」とは、アメリカはより広範な世界的利益と引き換えに、台湾への軍事的コミットメントを放棄し、アメリカの利益を最大化するべきだという、オバマ政権時代に広がっていた説です。
2011年当時のヒラリー国務長官の側近がヒラリー氏に「経済を救え、台湾を見捨てろ」というタイトルのメールを送ったことが有名です。
側近のメールには、「台湾を放棄する代わりに、中国が保有する1.14兆ドルの米国債を相殺すること」を示唆していました。ヒラリー氏はこの案に前向きで「マートな提案だ、話し合おう 」と返信したと伝えられています。
同じ2011年には、当時ハーバード大学ケネディスクールのフェローであったポール・ケイン氏は、「現在の動向によれば、中華人民共和国による台湾の統一は止むを得ないものであり、米国は台湾を諦めるべきである」と述べています。
アメリカがより多くの利益と引き換えに台湾を手放すべきであると主張する台湾放棄論の他に、シカゴ大学ミアーズハイマー教授が主張するような、「台湾はアメリカからは遠く、中国の至近距離にあることから、『米国の台湾防衛』という発想は本質的に不可能である」とする台湾放棄論もありました。
バイデン大統領は就任式に台湾代表を招待するなど、前政権の親密な米台関係を継続すると見られていました。しかし1月28日に中国国防部が『台湾独立は戦争を意味する』と発言した直後に、一つの中国政策の支持を表明したことで、台湾の期待を裏切ったようです。
しかし米軍は空母3隻をインド太平洋海域に展開し、英豪日と連携して中国軍の動きを牽制しており、米軍と政権中枢の動きとがズレているように見えます。
バイデン政権は、トランプ前政権からの引き継ぎがうまく行われなかったため、仕方がないのかもしれませんが、政権トップと現場との間に認識のズレがあると、隙を突かれて攻め込まれることになりかねません。
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参考記事 *>s
<多維新聞>拜登政府表态支持“一中原则” 美国“弃台论”即将卷土重来
http*://bit.ly/3cEme7L
<网易首页>美国公开支持一中政策 台媒:才喊了挺台湾 现又变了
http*://bit.ly/2YK3Vpl