8月26日にハリス米副大統領はベトナムを後にし、22日に始まった東南アジアのシンガポール・ベトナム2カ国歴訪を終えました。ハリス副大統領は、南シナ海における中国の威圧行動を非難し、中国当局の行動がルールに基づく国際秩序を脅かす場合、米国は声を上げると述べました。
24日にベトナム入りしたハリス副大統領は、25日にベトナムのグエン・スアン・フック国家主席と会談しました。
会談の冒頭の数分間はメディアに公開され、ハリス副大統領は、「中国政府は弱い者いじめをしている」とメディアの前で中国を批判しました。
ハリス副大統領は続けて、「私たちは、北京に圧力をかけて国連海洋法条約(UNCLOS)を遵守させ、そのいじめと過剰な海洋権力の主張に異議を唱える方法を見つける必要があります」と述べました。
また、ハリス副大統領は、米国やベトナムの大規模な企業グループが、サプライチェーンを継続して維持し、新型コロナの流行で混乱しないように、双方が緊密に協力することを提案しました。
ベトナム・フック国家主席は、ベトナムが独立、自律、積極的な外交政策を堅持していること、国際社会の良き友人であり、信頼できるパートナーであり、責任あるパートナーであることを改めて強調しました。
同日行われた記者会見で、ハリス副大統領は、「米国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)および地域においてますます重要な役割を果たし、強力で独立し繁栄したベトナムを支持する」と述べました。
「中国当局の行動がルールに基づく国際秩序を脅かす場合、米国は声を上げる。」
「米国は中国との競争を歓迎しているが、衝突を求めてはいない。米国は南シナ海などの問題について引き続き発言していく。」と、ハリス副大統領は述べました。
ハリス副大統領のベトナム訪問中には、米中によるワクチン外交がぶつかり合っていました。
25日にハリス副大統領は、米国が新型コロナワクチンを追加で100万回分、無条件でベトナムに寄贈すると発表しました。
その前夜には、中国の駐ベトナム大使はファン・ミン・チン首相に、中国が200万回分の新型コロナワクチンをベトナムに寄贈することを伝えました。
ファン・ミン・チン首相は、「ベトナムは外交政策においてどちらか一方を取ることはない」と述べています。
1週間のアジア訪問中、ハリス副大統領は2カ国の首脳と会談し、二国間の協力関係の深化などについて話し合いました。
ハリス副大統領とシンガポールのリー・シェンロン首相は、二国間の経済・安全保障関係の強化を目的とした新たな取り組みを発表しました。これには、サプライチェーンに関するハイレベル対話、サイバーセキュリティや気候問題に関する合意などが含まれます。
グエン・スアン・フック国家主席との間では、ベトナムの経済発展への支援や、ベトナムへの疫病対策の支援について合意しました。
米国政府は、南シナ海に覇権を広げる中国に対抗するために、東南アジア諸国の支持を固めようとしています。
ハリス副大統領がシンガポールとベトナムを訪問したのも、米国が東南アジア諸国との関係を強化するための一環と考えられます。
7月にはオースティン国防長官が、シンガポール、ベトナム、フィリピンの3カ国を訪問し、 ブリンケン国務長官が、8月上旬に開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国による年次首脳会議にビデオメッセージで出席しました。
アフガン撤退で米軍には、インド太平洋地域で中国と対峙する兵力の余裕が生まれました。
クアッド(日米豪印)に東南アジア諸国を味方につけることで、中国包囲網が強化され、もしかすると、中国が戦わずに引き下がるきっかけになるかもしれません。
余談ですが、米軍のアフガン撤収で撤収を急ぐあまりに、数多くの兵器を置き去りにしたことで、米軍やバイデン政権が非難されています。
ところが、これはタリバンとの密約によって、故意に置いていったのだとの見方をする人もいます。
兵力の撤収に際しては、兵器類は持ち帰るか爆破して、敵に使用されないようにするのは基本中の基本だから、米軍がそれを忘れるなどあり得ないというのが理由です。
この地域でタリバンの武力が突出すると、どのようなことが起こるのか、じっくり考えてみると世界が見えてくるかもしれません。
きっとそれは、ハリス副大統領の東南アジア歴訪とも繋がってくるかもしれません。
[あわせて読みたい記事]
参考記事
<美國之音>哈里斯亚洲之行即将结束 对抗中国威胁主题贯穿始终
http*://bit.ly/3mF7hXW
<自由亜州電台>哈里斯:美国将持续在南海等问题上发声
http*://bit.ly/3sVkFIs
<rfi>越南国家主席对美国副总统重申,越南坚持奉行独立、自主的对外政策
http*://bit.ly/3jnb2zi
|