黄大仙の blog

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中国による日本産水産物の輸入全面禁止の危機を解決 ベトナムが日本に救いの手を差し伸べる

今年8月に日本が処理水を海に放出した後、中国は日本の水産物の輸入を全面禁止しました。日本の財務省1129日に10月の貿易統計の詳細を発表し、加工品を除き、10月に中国への日本の魚介類の輸出額は4204万円と、前年同期比94%減少しました。

  フランス国営ラジオ放送局RFIの記事より。

中国の日本産水産物輸入禁止 ベトナムが救いの手

  中国は、日本の核処理水が海に放出される以前は、日本の水産物にとって最大の輸出先であり、香港と合わせて2022年には1600億ドル(23兆円)相当の水産物輸出を行っていました。

 

  中国が日本の水産物輸入を禁止したことで、日本の水産物産業、特に北海道などで生産され中国への輸出が主な販路となっているホタテやナマコは大きな打撃を受けています。

 

  中国国内での消費に加え、殻むきなどの加工を経て欧米などに再輸出される部分が多く、日本から中国への一連の産業チェーンを形成してきました。

 

  中国が日本産水産物の輸入を全面的に禁止した後、この産業チェーンは停止し、日本産ホタテ貝などが大量に滞留しており、市場の飽和や高価な人件費などにより、日本での販路の早期開拓や新たな産業チェーンの構築が困難となっています。

 

  このため、日本は、日本産水産物の輸入量を増やしてくれ、新鮮な貝類を加工する事業を引き継ぐ新たな産業チェーンを構築し、この産業チェーンの移管を実現するため、東南アジアなどと交渉を進めているところです。

 

  このような状況下で、ベトナムは日本に救いの手を差し伸べました。

 

  ベトナム独裁国家の特徴を持ち、「社会主義国」を標榜していますが、ロシアや北朝鮮のように、日本の核処理水の海洋排出や水産物の輸出に反対して中国と足並みを揃えることはなく、3月に北京で開催された11カ国の専門家が参加する国際原子力機関(IAEA)主催の会議にも参加しています。

 

  ベトナムは、日本から排出される原子力処理水の放射性核種濃度は環境にほとんど影響を与えないというIAEAの結論に同意し、日本の原子力処理水の排出はベトナムの海域に影響を与えないとの見解を示すと同時に、日本の水産物の輸出を強く支持しました。

 

  日本貿易振興機構(JETRO)113日、ベトナムの首都ハノイで、北海道産ホタテなど日本産水産物PRイベントを開催しました。その目的は、中国が日本産水産物の輸入を全面的に禁止したことに対抗して、日本産水産物の安全性をアピールし、代替市場を確保することにありました。

www.jetro.go.jp

 

  プロモーションでは、グエン・チー・ズン計画投資大臣が日本の西村康範経済産業大臣に同行し、日本産ホタテのバター焼きを頬張りながら、その美味しさをアピールしました。

 

  西村大臣はベトナムのメディアや企業関係者を前に、北海道産ホタテのおいしさと安全性を高くアピールし、「ハノイに輸送しても、日本産と変わらない新鮮なホタテは、食感だけでなく味も抜群です。」と述べました。

 

  グエン・チー・ズン大臣もホタテを頬張りながら、「日本食は大好きですが、ホタテはとても美味しいですね」と語りました。

 

  日本貿易振興機構(JETRO)は、1121日から23日までハノイで開催された食品展示会に日本食品を紹介する「ジャパン・パビリオン」を設置し、10の地方政府、企業、その他の団体が参加し、地元の特産品を来場者にPRしました。

 

  ジャパン・パビリオンは、2003ハノイ・フード&ホテル・エキシビションに設置されたもので、茨城県福井県徳島県、鹿児島県と在ベトナム日本流通企業がブースを構え、水産品や加工食品など150種類以上の商品が展示されました。

 

  日本政府は121日、ベトナム日本水産物に対する好意や消費・労働市場の状況等を考慮し、これまで中国で行っていたホタテの殻剥き作業を他国に移管する日本企業を支援する組織を立ち上げ、まずはベトナムでホタテの殻剥き作業者を募集し、新たな輸出ルートを構築すると発表しました。

 

  農林水産省12月上旬から、現地視察や商談のためにベトナム渡航する日本人事業者を募集しています。これまで日本も、米国へのホタテ等の輸出に必要な条件を満たす衛生的な加工施設を調査してきました。

 

  農林水産省によると、2022年に中国に輸出されるホタテ143,000トンのうち、96,000トンは殻付きのまま冷凍されて輸出されます。中国国内での消費に加え、34万トンが殻剥きされて米国に輸出されると推定されるため、中国国内のホタテ殻剥き施設に代わる国内外の加工施設の確保が求められています。

 

  日本貿易振興機構(JETRO)ハノイ事務所によると、ベトナムには日本食レストランが2,500店あり、8年間で3倍に増えています。同事務所の中島丈雄所長は「ベトナム日本食品にとって最も重要な市場の一つ」と述べ、官民連携による販路開拓の重要性を強調しました。

 

  現在、日越関係は勢いを増しており、ベトナム社会主義共和国のヴー・ヴァン・サン国家主席夫妻が1127日から30日まで、公式実務訪問の要人として日本を公式訪問しました。

 

  滞在中、天皇皇后両陛下はヴー・ヴァン・サン国家主席ご夫妻と会見され、ご夫妻のために昼食会を催されました。

www3.nhk.or.jp

 

  9月のジョー・バイデン米大統領ベトナム訪問の際、両国はベトナムと米国の関係を最高レベルの「包括的戦略パートナーシップ」に格上げすると発表しました。

 

  1127日にはチュオン首相と岸田文雄首相が会談し、日越関係を最高レベルの「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げすることでも合意し、日本が防衛装備品の提供を含む政府の安全保障能力強化支援(OSA)の枠組みの下で、ベトナムに支援を提供することを確認しました。

 

  国際関係の分野では、ベトナムは現在、日本に大きく傾いており、日本の核処理水の海洋放出を非難する中国の政治的・経済的ネガティブキャンペーンを支持しないばかりか、日本に救いの手を差し伸べています。

 

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  ベトナムを巡っては、米中がベトナムの争奪戦を繰り広げています。

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  しかし、ベトナムも日本も、中国の拡張主義には悩まされており、日越は中国に対して共同戦線を張れそうです。

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参考記事

<rfi>解决中国全面禁止日本水产品进口危机 越南向日本伸援手

https://x.gd/2aykZ